幸せ家族計画

□い
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「いつかはおまえもお嫁さんかあ…」



夕食が終わり、しかし自身の部屋ではなくなんとなく皆がリビングでくつろいでいた時のことである。

ふと景を見ながら骸がもらした言葉に、全員の視線が彼へと集まる。

しかし骸はそんなことなど気にせず、「ああ、リョーマもですね」なんて言ってみかんをもぐもぐ。

ちなみにそれは、近所の奥さんから今日の夕方もらったものである。



「……どうしたのさいきなり」



家族を代表し、怪訝そうな表情で尋ねる母、恭弥。

それに父はごくんと咀嚼していたみかんを飲み込んで。



「いえね、ご近所の家の娘さんが、今度結婚されるらしいんですよ」



それは、今食べているみかんをもらった時に聞いたらしい。



「で?」



ソファーに腰掛けテニス雑誌を見ていた亮が先を促す。



「だからふと、リョーマと景も、いつかはお嫁に行くんだなあと思いまして」



「…その場合ってさ、どっちがバージンロード歩くの?」



ふとそこで、亮の隣で宿題をしていた綱吉が問いかけ、



「「………………」」



思わず顔を見合わせる父と母。

そして骸が何か言おうと口を開いた瞬間―



「「母さんが良い」」



「どうしてですか!」



亮たちの向かいのソファーで飼い猫であるカルピンと戯れていたリョーマと景の声がそろった。



「「あー…」」



しかも長男と次男も納得するような声を出す。



「何ですか揃いも揃って!!」



それにショックを受けた骸に、フフンと得意気に恭弥が追い討ちをかけた。



「日頃の行いの差じゃない?」



「彼らの食事を作っているのは僕ですよ!」



「俺らは猫かなんかかよ」



父のあんまりなセリフに、思わず突っ込む長男。

そんな彼らを尻目に、雲雀家女性陣は容赦なく呟く。



「だって……パイナップルやだ」



「それに親父は大泣きしそうだしな」



「そ、そんな…!」



そんなセリフに、骸は分かりやすくショックを受け、



「うわ、部屋の隅っこでのの字書いてる…」



そんな父の姿に、家族はそろってため息をついた。



「……まだまだだね」





いつかはおまえもお嫁さんかあ…。

(恭弥くん!一人づつにしましょう!)(やだよ二人とも僕が良いって言ったんだから)(くふん…)


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