幸せ家族計画
□め
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それは、骸が初めて長女の試合を見に行った時のことである。
「俺様の美技に酔いな!」
キャーッ
雲雀様ぁ〜っ
「……………………………………………何ですかこれ」
かっこよく指パッチンなんか決めちゃってる我が子と、その我が子に向かって黄色い声をあげる――というか叫ぶ女子たち。
「あー…まあ、言いたいことは分かる、けどさ」
固まる骸の隣では、ここまで案内してきた亮が「だから来てほしくなかったんだよなあ」なんてぼやいている。
「…………………亮くん」
「ん?」
ショックが大きかったのか、未だ固まったままの父の懐かしい呼び掛けに、亮がそちらを向くと。
「………」
父はどこか、遠い目をしてたそがれていた。
目眩がする頭が痛い。うちの子がこんなに馬鹿だったなんて!
(育て方、間違いましたかねえ…)(…いや、あれはもとからの性格だと思う)