幸せ家族計画

□ら
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「ランチのおかげで母さんの機嫌は上々。お願いするなら今しかないわ!」



「…………………………何してんだお前ら」



ある日の休日。

亮が家に帰りリビングの扉を開けると、そこにはソファーに座りポーズをきめ、某舌を出したキュートな女の子状態の綱吉と、その机を挟んだ前のソファーに座った幸村の姿があった。



「あ、亮兄お帰り」



「お帰りー」



思わぬ光景に固まっている亮に対し、その原因である二人はそう言って笑顔を見せた。



「いやあ、次の作品でこのセリフ使いたいんだけど、どうやって使うか思いつかなくってさ。もう締め切り過ぎちゃってるのに…ふふふ」



「……笑い事じゃねえよ」



その余りに幸村らしい態度に、亮は力なく突っ込む。

こうして彼はいつも締め切りを守らないのである。

その上全く焦らず、むしろ作家である彼よりも編集者である真田の方が焦るし困る。

…まあ、雲雀家にとっては見慣れた光景ではあるけれど。



「うんホント笑い事じゃないからさ、綱吉くんにお願いしたんだよ」



そう言って、「ほら、やっぱり実際に聞いた方が何か浮かぶでしょ?」と微笑む幸村に、亮は今度は綱吉に呆れたような視線を向ける。

すると彼は、



「だってバイト代弾むって言ったから」



と言って手元にあったお茶を飲む。

なんでも欲しいゲームソフトがあるとかなんとか。

そんな綱吉に、亮は言いたいことが山ほどあったのだが―最終的には、まあこの二人だしと諦めた。

そして幸村の隣に座り、テーブルに置かれた幸村が持ってきたのだろうクッキーに手を伸ばし、この似たもの同士のやりとりを眺めることにしたのだった。





ランチのおかげで母さんの機嫌は上々。お願いするなら今しかないわ!

(うーん…何かが違うな。もう一回)(えー)(…あ、このクッキー旨い)



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