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□ものまね
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サスケがどこかに隠れたのを一苦労して見つけて、チビどもの数をかぞえる。
ユキ、コジュ、マサムネ、チカ、サスケ
よし、みんないるな!
1、2、3、4、5、匹っと。
5匹!?
いつもは大人しく窓際で日光浴をしながら読書しているナリがいない!
「ナリ!!どこにいるんだ!?」
時々窓を開けて外に出してやるけど、今日は風が強くて、飛ばされたら大変だから、窓は閉めてある。
ナリはかしこい奴だから、ちゃんと俺が呼べば出てくるのに。
もしかしたら、この前退治したネズミの家族に食べられ…いや、それはない。
どこに行ってしまったんだ。
困ったなぁ。
「はぁ…」
思わずため息をついてしまった。
すると控え目につんつんと、足をつつく感じに目をやるとサスケが上を指さしている。
「ん?上?」
真上を見上げると…
「いた。」
電気のかさの上にしがみついているナリを見つけた。
どうやってのぼったんだよ。
「危ないだろ」
ここはサスケがよく隠れる場所だから下ろしてやるのは慣れてる。サスケなら手をのばすとピョンと乗りうつるんだけど、
「どうした?ナリ」
ナリはガタガタふるえて、動こうとしない。
登ったはいいけど、思ってたより高くて、こわいから下りれないんだな。
じゃあ、どうして登ったんだ。とは言わない。
俺もそういう経験、一つや二つしてるから。
…あ、どうしてこんなことをナリがしたのかわかった気がする。
イスを持ってこないと、ナリには手が届かない。
「そのままで待ってるんだぞ」とナリに言って、台にするイスをとりに移動する。
いつの間にか肩までよじのぼってきてたサスケをひょいと頭に乗せた。
「ナリ、今下ろしてやるからな」
イスを持ってきて、のぼると丁度ナリと同じ目線だった。
チビのこいつらと同じ目線なんて、なんか新鮮だな、と、思ってると、ナリが目を潤ませてこちらを見ている。
「あ、悪ィ」
首のつけ根らへんをつまんで、持ち上げ、すぐ手のひらの上に乗せてやる。
「こわかったなぁ、ナリ」
ぐしぐしと頭を撫でてやる。
やっぱり、相当こわかったのだろう、普段なら、撫でられるのを嫌がるナリが俺にされるがまま、大人しく撫でられている。
俺は頭に乗ってるサスケを床に下ろし、「ほらテレビ始まったぞ」声をかけるとチラリと俺を見て、テレビのある部屋に行った。サスケもかしこい奴だから、わかってるのかもな。
「ナリ、無理してサスケのまねなんかしなくていいんだぞ。」
ナリはきっとサスケがうらやましかったんだと思う。高いところに登れることや、俺にかまってもらえることが。
「俺は、ナリも、サスケも他の奴、みんなが大好きで、すげー大切なんだから。」
キュッとナリの鼻をつまんでやると、パシッと俺の手を払って、さっさと窓際のナリの定位置に戻ってしまった。
「次、高いところにのぼりたくなったら、俺の頭にのぼりな」
そうすりゃあ一石二鳥だろ。
いや、三鳥かな。
俺が心配しねーで済むから。
おわり。
2009/6/20
Yaーhaー!