title book
□Valentine Kiss
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そしたら、チカのだんなが。
「なあ」
「ん?」
「(ちょ)この、(ざいりょ)うは、なに?」
「………」
ちょこの、ざいりょうは。
「……ちゃ(いろい)、なにか?」
おんなじ色をした、なにかが、ざいりょう?
コジュのだんなとかおを合わせて、くびをかたむける。そういえば、ちょこってなにでできてるの?
「………」
「………」
「………」
「(ちょ)こ、(ちょ)こ!」
「(ちょ)こ!」
たのしそうにはねてるユキのだんなとマサムネのだんなはおいといて、おれさまたちはだれもちょこのざいりょうをしらなかった。
そういえばつくりかたもしらない。
「……だめじゃん」
ぽそっとつぶやいて、うなだれる。
おれさまたちじゃ、なんにもご主人さまにぷれぜんとできないんだ。
そう思ってたらきこえてきた、あしおと。ご主人さまの、あしおと。
――ガチャ
「ただいまー」
あしおとがきこえたときにはすでにそとへのドアにむかっていたおれさまたちは、ドアがひらいてご主人さまが見えたしゅんかん、とびついた。
「うお!?」
いつもはユキのだんなとチカのだんなだけがとびつくのに、きょうはみんなだからご主人さまはびっくりしてる。
でもちゃんとみんなおちないようにうけとめてくれるご主人さまに、『だいすき』ってきもちをいっぱいいっぱいつめこんで。
たくさんたくさん、ちゅーをした。
「へ、何、どうしたのお前ら。嬉しいけどさ」
おれさまたちにちゅーされながらわらうご主人さまは、よくわかってないみたいだけど、それでもいいよね。
だって、
「俺も大好きだぞ」
そう言って、ご主人さまもちゅーしてくれるから!
【Valentine Kiss】
(ほら、チョコ買ってきたぞ)
(こー!)
end
オマケ
《その後》
チビたちが俺の買ってきたチョコに夢中になってるのを、ボーッと見てる時のこと。
1匹だけベランダにいたモトナリが、そっと俺のとこにやってきた。
「どうしたモトナリ?」
チョコ食べないのか?
よじよじと俺の膝に登ったモトナリがじっと俺を見る。何かと思って見つめ返すと、さらにモトナリは俺の身体をよじ登ってきた。
肩まで登ると、ふぅ、と一息。黙って好きなようにさせる。
そしたら。
………ちゅ。
小さくためらい気味に聞こえたリップ音。
途端にモトナリは俺の肩から飛び降りて、ベランダに走り去ってしまう。
「………こんの照れ屋さん!」
そして1人身悶える俺を心配したサスケたちが群がってきたのは、また別の話。
END
2010/3/13 夜鷹
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チョコを溶かしてチョコを作るって発想はきっとやつらにはない(笑)
アユミ様、遅くなりまして申し訳ございませんでした。
しかもまさかの名前変換なし。
書き直し、苦情はアユミ様のみ受け付けさせていただきます。
ちびたちの台詞は読みにくいと思いますが、()内は補足で、()の外にあるのが実際に口にしてる言葉です。
ここまでお読みいただいてありがとうございました!