四天王寺☆ROOM

□彼に恋する理由
1ページ/1ページ


朝から
降り続いている雪が
静かに地面を
白く染めていった


部活も
この雪で休みになり
放課後の校内には
人がまばらになっていた。

私も雪が
もう少し弱くなったら
帰ろうかななんて
教室で図書室から
借りた本を読んでたら
いつの間にか
眠ってしまったらしい


教室も暖房が
ほんのりきいて
眠気を誘っていた




どのくらいたったのだろう

不意に私の背中を
ふわっと何かが包んだ

『こんなとこで寝てたら
風邪ひくで?』

ボソッと囁く声がし
指先も温かな感覚が…


誰?

ゆっくり
まだ眠くて重い瞼を開けた

『し、白石くん』

『おっ、起きたんか?
こんなところで
寝てたら風邪引くで』

『ごめん、つい』

えへへへって
笑いながら
恥ずかしさをごまかした。

でも気付いたら、
彼のジャージが
私に掛けられていた

『これかけてくれたの?』

『風邪引く思うたからな
嫌だったか?』

『ううん、ありがとう』

こういう
さりげない優しいさに
ドキッてなってしまう

『本当は…』

『ん?』

そういうと
私の手を握り
はぁ〜と息を
私の手に吹き掛ける


そして
上目使いに私を覗き込む


『こうやって、
俺が直接暖めて
あげたかったんやけどな』

『な、何言ってんのかな?』

『はっ!
もしかして、さっきも手を…』

『ああ、手が冷えてたからな
暖めてたんやけど
眠ってるから
起こさへんように
我慢してたんやで』

『あ、ありがとう』

私がはずかしくて
赤くなり
うつむいてしまった

彼は体を机から乗り出して、
顔を近づけながら
耳元で囁いた

『なぁ、まだ寒いなら
俺が暖めてあげるから
抱きしめても構へん?』

『白石くん〜』

慌てる私を
彼は嬉しそうに見ながら
笑ってる

いじわるぅ

その上目使いは反則

いつもこうやって、
私を揺さ振っている


でも
こういう彼も好きだから
ちょっと困っちゃう


本当は
普通に〈好き〉って
彼に言って欲しいんだけど…。


〜FIN〜

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ