◇A書庫

□七夕に願いを、君に愛を
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今日は七夕らしい。
朝の天気予報で本日は快晴だと言っていた。
そのとき今日は七夕ですね〜と言っているのを聞いた。
からりと晴れた今日晴れの日夏の夜。
グランドに寝転がって夜空を眺めた。
夏の空にデネブ、アルタイル、ベガが輝いていた。
その三つを指差して夏の大三角形をなぞる。

ざっざっと足音がした。
俺の頭の上くらいまで近付いて、ピタリとやんだ。


「何してんの?」
「天の川見てる」
「へぇ、そんなグランドに寝転がってたからてっきり寝てるのかと思った」
「お前も寝転がってみる?」
「綺麗?」
「うん」
「じゃ、俺も」

栄純は俺の隣に座って、俺と同じように寝転がった。

「うわ…」
「な、綺麗だろ?」
「うん、綺麗だな」
「星が夜空に瞬いているってこういうことをいうんだろうな」
「星見ると長野に帰りたくなる、長野はすっげー星が綺麗。一度アンタにも見せてやりてぇ」
「栄純の故郷ね、是非とも行きたいね」
「いつか行けたらいいな、俺も御幸と一緒に見たい」
「そのときはまたこんな風に一緒に寝て星を見よう。…約束な?」
「ああ、約束だ」




「…ところで、七夕の願い事はしたのか?」
「した」
「ふぅん、何て?」
「教えない、御幸が教えてくれたら教える」
「俺は栄純と来年も再来年もずっといられますように、二人で色んなことを共有できますように、栄純が俺のことを好きでいてくれますように」
「………欲張りすぎじゃねーの?」
「栄純は?」
「……俺は一つだけ」
「エースになる?」
「…違う」
「甲子園で優勝する?」
「それも違う」
「じゃあ、何?」
「…俺は、御幸とずっといられますように」
「マジで?」
「嘘ついてどーすんだよ」
「すごく嬉しいんだけど」
「俺だって恋人のことを願うんだよ、…七夕なんだから」
「俺てっきりエースか甲子園だと思ってた」
「俺はエースになるし、甲子園で優勝する。それは織り姫と彦星に叶えてもらうことじゃねぇもん。俺自身がが叶えることだから」
「そっか」
「アンタだって甲子園のこと叶えてもらおうとしてないじゃん」
「栄純のことで頭いっぱいだったからな」
「……俺だって御幸でいっぱいだったよ」
「今日はやけに素直だな」
「いつもは素直じゃなくて悪かったな」
「いつもの栄純も可愛いからいいよ」
「褒め言葉じゃねーよ、バ一也」
「はいはい。そんな素直な栄純に俺はご褒美をあげようと思うんだけど」
「ん?」






「その願いは織り姫と彦星じゃなくて、俺が叶えるよ」






***
御沢。
七夕話だけど一日過ぎてしまった。


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