◇A書庫

□夏より暑い
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ミ゛ーンと蝉が泣く。
太陽の照り返しがキツイ。
外の空気はもわっと湿気を含んだ熱気を帯びている。
日陰のベンチに腰掛けて、隣にいる沢村に話かける。


「最近、マジで暑いよな」
「暑いっていうより蒸し暑い……」
「降谷もだれてっけど、お前もだれてんな」
「こんなに蒸し暑さなんて初めてだし」
「長野は涼しい?」
「涼しい。暑くてもここよりは全然暑くない」
「ふぅん、あ、マネージャードリンク頂戴」
「はーい」

マネージャーがドリンク配ってたから手を挙げた。

「あの、御幸君」
「ん、なーに?」
「今一本しかないんだけど、いいかな?」
「いいよ、二人で飲むから」
「はっ!?ちょっ…」
「そう?じゃあ次作ったらまた持ってくるから」
「お願いします」

マネージャーもこの暑いのに大変だな。


「って何二人で飲むからOKしてんだよ」
「あ、冷たくて気持ちいい」
「無視すんな」
「栄純も飲む?」
「……いらねぇ」
「暑いのにやせ我慢しちゃって、ほれ」
「いらない」
「あ、もしかして間接チューだから?」
「なっ、あ……」
「図星か」
「ちげーし」
「今更間接キスだからで恥ずかしがんなよ。もっといろいろ恥ずかしいこととかしてんだろ、例えば……」
「んんっ…ふ…ぁ…」

今飲んだドリンクを口移しで飲ませてみた。
ごくりと栄純の喉がなる。
俺の方が口寂しくなっちゃったからついでに舌を絡めると栄純のくぐもった声にならない声がした。
何言いたいのか大体想像はつくけど分からないふりして続行した。


「ごちそうさま」
「……っ、死ね」
「エロい顔。ドリンク飲んだから涼しくなっただろ?」
「……涼しくなんかない」
「なら涼しくなるまでしよっか?」
「んなっ!?」


ニヤリと笑うと栄純があからさまに焦った。
さて、何回キスしてドリンク飲ませれば栄純は涼しくなるのか?


「どーする?」
「…ドリンク貸せ」
「最初から素直にそういやあいいものを」
「…フン」
「可愛いやつ」






冷たくなるどころか身体が余計に熱くなったんだよ、バカ御幸!!


***
御沢。

練習休憩中。
他の部員は暑いのにさらに御沢をみて熱くなってたり。

休憩中くらい涼ませろ!by.部員一同


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