クローバーの国

□第二章 一部 行動開始
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ピアスがベッドで眠る間、私は静かに本を読んでいる。

読書で時間を過ごすしかない。


…ぺら


見つめている文字は頭に入らない。

ピアスが起きるまで何も行動できない。


(…はあ。)


内容が入ってこないのは集中していない証拠だ。

無理に紛らわすからダメなのだろうか。




(ディー…ダム。)


離れてしまった二人が気になる。

無茶なことをしていないだろうか。



(…。)



二人のことを思うだけで…どうしようもない。

すごく会いたい。






ナイトメア、ボリス。

二人ともハートの国で出会えた人だ。

引越しはあったが二人はここにいる。

だから希望はある。


帽子屋屋敷。

…二人がいるかもしれない。





…ぺら


本を読んでいる暇があるなら探しに行くべきだ。

外に出る気はあるが小さい体は不便だ。

森を抜けるのも難しいと思う。


「…いい方法あるかなぁ。」


待っているだけでは落ち着かない。

行動したいけど危険はいっぱい。




…グロテスクな想像で不安になる。

安全な方法は人頼みになる。


焦る私は冒険に出る。

勇気なのか無謀なのか…



(ピアス。ごめんね…)



寝返りを打つピアスを横目にドアを閉める。

ドアを開けると森の中だ。






草は高く、視界は悪い。

森の中は鳥の声がする。

木は上を見るだけで気が遠くなる。


「…行く?」

冒険に出ようとする私は無謀と言える。

小さく迷いやすい。



怖くて前に踏み出せない。

一歩出れば迷子になりそうだ。


「…二人のところに行きたい。」




ここにいないかもしれない。

いるかもしれない。


だから探さなきゃいけない。



「…はあ。勇気だそう。」



探しても見つからなかったら…

二人がいなかったら。

そんな不安が私を追い詰める。



(…逃げ道を探すから迷うのに。)


まるで悲劇のヒロインだ。

…酔っている。

自分のことを哀れむ自分に呆れる。



「行こう。」


一歩前に踏み出した。






引越してから、ずっと…



ピアスの好意に甘えていた。

小人になったこと、戻れないことを人のせいにした。

一人じゃなかったから怖くなかった。

ピアスがいなかったら、私はずっと心細かったはずだ。


(…甘えすぎ。あと、被害者みたい。)




「…はぁ。しっかりしなくちゃ。」


自己反省を終える。



受け身では生きていけない。

そういう世界だ。



「みんなに甘えてたから生きてるんだよね。」



私はいろんな人に守られていた。

ハートの国では主にブラッドから。

そしてエリオット、ディーとダム。



もちろん今も銃撃戦はできないけれど。


(まあ、がんばろう。)


ハートの国にやってきた時、自分で決めて行動していた。

クローバーの国でも同じだ。


「がんばろう。弱気になっちゃダメだ。」


言い聞かせて前を見る。

少しでも前進しないと追いつけない。







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