短編
□体当たり
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「ペーター?!」
干していた洗濯物。
フワリと舞い上がったと思ったら、彼がいた。
洗濯物の向こう側から、突然出現してきた。
「アリス!僕達、恋人同士ですよね?!」
「ペーター。寝言は寝てから言いなさいよ。」
「寝言なんかじゃありませんっ。
僕達、付き合ってるんでしょう?だから、恋人同士ですよね?」
「ちょっと、引っ付いて来ないでよ!洗濯物が干せないでしょ?」
まとわり付く白ウサギ。
うんざりとした視線を投げる。
彼は全く見えていない。
「付き合ってるんじゃなくて、貴方が無理やり付き合わせてるのよ?」
「違いますっ。それは合意の上ですよ。」
(どこが合意の上だ。)
この、ストーカーうさぎは困りものだ。
「あんたなんか、絶対好きになんてならないんだからっ」
「いいえ。絶対好きにならせて見せますっ。
さあ、安心して恋人同士になりましょう。」
「人の話を聴きなさいってば!」
(こんなヤツ、一生無理!)
…と思っていた私。
この後の心境の変化には頭が下がる。
End
押し負けたかしら。