短編
□眠り姫
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青い空。
緑の森。
そして色とりどりのキノコ。
森の奥には、ドアがいっぱいだ。
青い空は木々が遮ってしまう。
薄暗く、少し湿っている地面。
『ドアを開けて…』
声が聞こえる。
…
すぅ…すぅ…
安心しきった寝顔。
ここまで聞こえる寝息。
樹木に寄りかかるようにして眠っていた。
そんな女の子。
「あれ?」
落とし物を見つけた。
無邪気そうな寝顔。
気持ち良さそうな顔で寝ている、女の子。
女の子の落とし物なんて、珍しい。
しかも、余所者の女の子だ。
警戒心の欠片も見えない。
無防備で可愛い、女の子。
「落とし物…。女の子、落とし物だ。」
こんな所に落ちている。
可愛い女の子が落ちている。
「めずらしい落とし物。…俺が見つけた、落とし物!」
落とし物は、拾った人が貰えるもの。
落とし主は知らないから、この女の子は落とし物。
見つけたのは俺だから、拾ったら俺の物。
「落とし物は、拾ったら俺のものになるよね。」
今は寝ている女の子。
気持ちよさそうだから、起こすのは待ってあげよう。
(起きたら俺のものだからね。)
俺が拾ったから、俺のもの。
君は俺のもの。
END
ちゅうで起きる?