短編

□眠り姫
1ページ/1ページ





青い空。

緑の森。

そして色とりどりのキノコ。



森の奥には、ドアがいっぱいだ。

青い空は木々が遮ってしまう。

薄暗く、少し湿っている地面。



『ドアを開けて…』



声が聞こえる。









すぅ…すぅ…

 

安心しきった寝顔。

ここまで聞こえる寝息。

 

樹木に寄りかかるようにして眠っていた。

そんな女の子。



「あれ?」



落とし物を見つけた。

 

無邪気そうな寝顔。

気持ち良さそうな顔で寝ている、女の子。



女の子の落とし物なんて、珍しい。



しかも、余所者の女の子だ。



警戒心の欠片も見えない。 

無防備で可愛い、女の子。



「落とし物…。女の子、落とし物だ。」



こんな所に落ちている。

可愛い女の子が落ちている。



「めずらしい落とし物。…俺が見つけた、落とし物!」



落とし物は、拾った人が貰えるもの。

落とし主は知らないから、この女の子は落とし物。



見つけたのは俺だから、拾ったら俺の物。



「落とし物は、拾ったら俺のものになるよね。」



今は寝ている女の子。

気持ちよさそうだから、起こすのは待ってあげよう。



(起きたら俺のものだからね。)



俺が拾ったから、俺のもの。

君は俺のもの。




END

ちゅうで起きる?

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ