短編
□手をのばす
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ベッドの隣。
眠っているのに苦しそうで…
その瞼が震えている。
(…君は、どんな夢を見ているんだ。)
どんなに案じても、
夢を見ないようにさせても…
忘れない。
…君は悔やみ続けるんだろう。
頬を撫でれば、少しぬれていた。
涙の感触。
「…忘れたらいいのに、君は忘れない。」
意思が固くて、
夢の中でも責めている。
自分自身を。
『許さないわ』…か。
眠る彼女を抱き寄せて、
その夢から抜け出させる。
胸にうずめた顔。
穏やかな寝息。
暖かな体を寄せて、
涙が止まるまで…
「…私を呼べ。」
守りたい。
呼んでほしい。
…でも、
君は私を呼ばない。
END
メア。