ソウコ

□ネタチョコ
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いつも、してやられる双子達。



ちゃっかりとクールで残忍な双子。



そんな二人に…





「見てなさいよ。」



アリスは少しだけ仕返ししたかった。





バレンタインの季節だ。



ちょうど、チョコを贈るイベントがもう目の前。



この世界でもいろんなチョコが出回っている。



仕返しというだけあって、



手作りも良いが、彼らには刺激が足りない。



だから、特別に…



二人にはとっておきのチョコを渡さなければ。











「お姉さんだ。こんにちは。」

「お姉さん。どうしたの?」





「二人とも、今日はバレンタインなの。」



いろんなチョコを見たけれど、楽しそうなものがあった。



二人にぜひ渡したい。



渡した時、どんな反応をするだろうか。



考えるだけで、すごく笑顔になってしまう。



「だから、チョコを渡そうと思って。」



「本当? お姉さんからのチョコなんだ。やったー♪」

「やったね。兄弟。 僕ら、お姉さんからチョコをもらえるんだね。」

「うんうん。すごく幸せだね。兄弟。」

「そうだね。すごく幸せだね。」



二人は渡す前から喜んでいる。

無邪気そうな顔で、純粋に嬉しそうだ。



(…うう。痛い。)



…見ていると、私の良心がうずく。



そんなに嬉しがるものではないと思うけれど。



渡そうとしているのは、手作りチョコではない。



ちょっと危険なチョコなのだ。



一見綺麗なラッピングで包んでいるが…





「…二人が好きかな?と思って選んだんだけど。」



手作りじゃなくて、ごめんねと付け加える。



「いいよ。お姉さんから貰えるなら、何でもいいよ。」

「うん。手作りじゃなくても、僕らに選んでくれた物なんでしょ。全然気にしないよ。」

「うん。気にしない。楽しみだよ。」

「お姉さん。早く頂戴?」



二人はそんなに気にしていない。

ホッとしつつ、二人に渡す。



一人、一つの箱だ。

だから、二人に同じ物を贈った。



綺麗なラッピング。

二人はわくわくしながら、その包みを取る。



私はドキドキしながら、二人の手元を見つめる。

どんな反応をするのか、今は怖い。



あんなに楽しみにしていたけれど、いざ渡してしまうと反応が怖い。



そんなことを恐れていると、

二人は、箱のリボンが解かれるところだった。



(…ああ。)

なんとなく顔を背ける。







商品名:いたずらチョコ



内容:9個入り

全て見た目はそっくりですが、中身の味は異なります。

9つの中に一つだけハズレあり。(味はひみつ♪)

味:生チョコ、アーモンド、抹茶、イチゴ…(以上8種)









「おねえさん。面白そうなチョコだね。」

「うん。『いたずらチョコ』なんて、名前に惹かれたでしょ?」



「え?そ…そうね。楽しそうかなと思って。」



反応は恐れていたほど悪くなかった。

ちょっと安心する。



「ハズレ…気になるなぁ。」

「どんな味だろうね。兄弟。」



「…あ、そんなにひどい味じゃないと思うけど。」



そこは良心的だ。

ちょっと驚く程度のもの…だと聴いている。

中身は知らないけれど。



「じゃあ、お姉さんも楽しまないと。」

「うんうん。二つあるから、二回ゲームができるね。」



「ええ?」



「うーん。勝者は一人か二人だから…。勝ったら何してもらおうかな。」

「こういうの、僕ら好きだよ。」



展開が早い。



「お姉さんが負けなかったら、僕ら、お姉さんの言うことを聞いてあげる。」

「ただし、お姉さんが負けたら、お姉さんがバツゲームだけどね。」



「ちょっと待って、私やるとは…」



「お姉さん。そんなこと言わないで、一緒に遊ぼうよ。」

「せっかく、お姉さんもいるんだから。三人のほうが楽しいよ?」

「じゃあ、ゲーム開始だね。兄弟。」

「うん。順番はお姉さんからね。」



双子達に仕返し…

いや、ちょっと出来心で送ったチョコレート。



今度は、私が仕返しされる番かもしれない。




END
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押し負けるアリス。


2010年2月 製作

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