□ENDLESS DAYS
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湯上りの真明様が顔を出す。
「別に何でもねえよ」
「まあ、私を除け者にして」
「鶺鴒に聞け」
花の薫りのする真明様の髪に口付けをして玄奘三蔵が入れ替わりに湯場に向かう。
「…本当に眩しいほどご寵愛ですね」
「江流は元々ああゆう感じなのよ?」
「それはにわかに信じ難いです」
「でも…『鶺鴒』って呼んだわね」
ニヤッと真明様が私を見て笑ってみせる。
その瞳に敵うはずもなく
「実は…先程」
守刀の玉を見せる
「主従関係、結んでもらえたのね」
「はい!」
「ふふ、江流ったら…素直じゃない」
「真明様?」
クスクスと軽やかな笑い声が上がる。
「実はね…鶺鴒を拾った日…慶雲院の皆は鶺鴒を置く事に反対してたの」
「それは…先程聞きました」
「何て?」
「『あまりにも幼子だから飛雷の一族に返すのがいい』と言ったと…」
「江流が?まあ、嘘ばっかり」
「え?」
「確かに慶雲院の皆がそう言ったの。
私は院を出て、鶺鴒と暮らしていくのでも構わないと思ってたんだけど…」
綺麗な鳶色の瞳が細められる。
「江流が『一切の責任を俺が持つ、その歩みを止めてやるな』と言ったのよ」
「ーーーーーーー」
「だから…本来の主従関係は江流が筋なの。
でも『お前が拾ったんだからお前が面倒みろ』って言って。
それも彼なりの優しさ」
「そうだったんですね…」
思わず新しい主の消えた方を見る。
『剛』の導きの中に潜む、温かなーーーー
「本当に…素直じゃないですね」
「鶺鴒…あなたが『歩めること』を見つけたのなら…
私達への責を背負わなくてもいいのよ?」
「真明様」
本当に心配している顔。
その手を大切に両手で包み
「鶺鴒は…ちゃんと見つけましたよ」
「じゃあ…」
「貴女と共に」
驚く瞳に伝わるように
精一杯の笑顔を添えて
大事に言葉にするから

「鶺鴒の『道』はお2人と共に」

これからもずっと

私の『太陽』は

貴女と貴方なのだから













ENDLESS DAYS・了
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