□LOVE DRINKER
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とても天気の良い日だから

君と飽きる事なくベッドの海に沈んで

その身を飲み干してしまいたいなんて我儘だろうか




「…江流」
共に眠る事が常習化した真生がスル…と江流の腕の中から身を起こす。
窓から差し込む陽の光に彼女の白い肌が透き通って見える。
「いいお天気」
寝乱れた衣を整えもう一度視線を横に落とし
「…」
隣で眠る幼馴染の美貌をじっと見つめる。
金色の髪、長いまつげ
「キレイ」
思わず言葉が声に浮かびそっとその髪に触れようと手を伸ばすーーーー

パシッ

近づいた手を瞬時に掴まれ真生は目を丸くした。
江流の双眸がゆっくりと開く。
「…男にキレイなんざ、嬉しかねーよ…」
「起きてたの?」
「今な」
気怠そうに掴んだ手をそのまま引き真生をその身の上に引き寄せる。
「ふふ、おはよう」
「…お前、もう少し警戒しろ」
「江流を警戒するのは難しいわね」
ニッコリと微笑んで江流の上で身体を起こす。
「いい天気よ…今日は休息日よね」
「白竜が風邪では走れんからな」
頼みのジープが走れないのでは致し方ない。
束の間の休息。
「久しぶり…こんなにゆっくりするの」
ベッドから滑り出し真生がコーヒーを淹れる。
芳ばしい薫りに徐々に低血圧な江流も目が覚めだし、ベッドの上に身を起こした。
この状況
(…誰が『何もない』と思うんだよ)
煙草を咥えた口元から溜息が漏れる。

その人肌が心地良くて

これ以上『壊せない』なんて

位置づけるなら「幼馴染以上恋人未満」という所。
(もし…)
この頭の片隅の感情を
彼女が掴んでしまったらーーーーー

見てみたい

「はい出来た」
「何だそれは?」
「これはね、花をお砂糖で漬けたものよ」
「朝から脳天フル活動要求のような食物だな…それ」
「ウフフそうかも!
この前立ち寄った山間の村の女の人達から譲ってもらったのよ。
あの村では好きな人に食べてもらうと、思いが通じるのですって。素敵よね」
「ほぅ?…じゃあ…」
スッと江流の手が花弁を1枚取ると
「真生」
「ん?…!」
名を呼ばれ顔を上げた途端、薄く開いた口に砂糖菓子を放り込まれる。
「んー(訳:不意打ちだー)」
「隙が多いんだよお前は」
何を言ってるか分かってしまうのも、長い付き合い故。
煙草を消すと
「…」
そのまま唇が触れるか触れないかの距離に近づき真生の咥えた砂糖菓子を奪い取る。
「…もぅ…江流」
「…もし、その村の言い伝えが本当なら…」
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