□優しい気持ち。
1ページ/5ページ

「メリーXmas!真明はん!」
「メリー…?
ヘイゼル様…それ何ですか??」
「クリスマス、知りません?」
「クリスマス、ですか??」
赤い服を着ておもむろに登場したヘイゼルとトナカイの着ぐるみのガトを
真明は首を傾げて見つめる。
「クリスマスっちゅーのは、サンタクロースというおじいさんがトナカイに乗って世界中の子供達にプレゼントを配りますのや」
「まあ!素敵!!
大人はもらえないのですか?」
「残念ながら、大人になったらサンタクロースは見えなくなって、その代わりと言っては何ですけど、親愛なる同士でプレゼントを交換したり、恋人同士で過ごしたり」
「それも楽しそう」
ヘイゼルの話す大陸の文化に真明は興味深く瞳を瞬かせる。
その様子を見とめ
「そうや!ウチからも真明はんにプレゼントや」
「え?良いのですか??」
「いつも三蔵はんとの仲を取り持ってもらってますから。
これじゃ足りんくらいや」
「有難うございます」
白い小さな両手の上に小さな箱が置かれる。
「中身は開けてのお楽しみっちゅー事で!
三蔵はんと楽しんでや♡」
「?」
ニヤリと意味深な笑みを浮かべて去るヘイゼルの姿を
再び首を傾げて真明は見送った。


貰った小箱を振ってみたり
日に透かして中身を確かめようとしてみたり
あらゆる方法を駆使して真明は中身を探る。
「うーん…何なんだろ、コレ」
「真明?どうした??」
「あ、悟浄。
これね、ヘイゼル様から貰ったの」
「ヘイゼルから?
何っか胡散くせーな…」
真明の手から箱を受け取り
悟浄は四方八方から眺める。
「なんかね、玄奘と楽しんでって。
お菓子かしら?」
「三蔵と…?」
言葉を反芻して
悟浄はああ、と合点がいったらしい。
「成る程…ヘイゼルやるじゃん」
「?何??悟浄分かったの?」
「まあね。そりゃあサンゾーサマとだな」
「何何?ねえ、教えて」
「教えてあげてーけど、これは秘密♡」
「えー…」
眉を下げて残念といった表情で悟浄から小さな箱を受け取る。
「夜になったら2人で開けてみな。
いーモノ見れるかもよ☆」
「夜…?」
ますます疑問が深まる真明。

夜がすっかり訪れて

「江流…」
扉をノックしてそっと部屋を伺う。
そこにはいつも通り新聞を読みながら煙草を咥える三蔵の姿があった。
眼鏡を外しこちらに視線を向ける。
その色は邪険にするでもなく
拒むでもない
いつもと違う行動をする真明に何かを感じ取っている。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ