□same
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この世のどこかにあるという

人間と妖怪が共存する世界桃源郷

ある時

そのバランスは急激な速さで失われる

妖怪は人を襲い

人間は妖怪を疎んじる

共存していたはずの2つの生は

大きく音を立ててその世界を壊しはじめた


空上で見守る神々は事をゆゆしく決め

三仏神を通して第31代唐亜玄奘三蔵法師へ

妖怪でありながらも自我を保つ均衡な存在

孫悟空
沙悟浄
猪八戒

を共にバランスの軸を正すよう西方への旅を命じる

バランスの軸とは

その昔、闘神太子「哪吒太子」によって西方・吠登城に封印された牛魔王の蘇生が三蔵法師が守る5つの経文

天地開元経文

を用いて目論まれている事にある。

そして―――――――

玄奘三蔵法師にとっては亡き師の形見ともいえる天地開元経文の1つ・聖天経文がその手に落ちている事も西を目指す1つになった。



―――――旅が始まる――――――





落ちる日に向かい、鉄の車は走る。

「…なあ、三蔵ー、腹減ったー…」
「悟空、さっき食べたばかりですよ?」
ジープの後部座席でグッタリと前のめりになり半分座った目で悟空が空腹を訴えると
運転する八戒は苦笑いを浮かべながらもそれを諭す。
「まあったく、猿の胃袋は底抜けだな」
「んだよ!元はといえば悟浄がオレのシュウマイを横からかっ攫ったからだろぉ?!」
「ああ?てめぇのって名前でも書いてあったのかよ?」
「後で食べようと思って前においといたんだよ!」
「じゃあ、別にテメーのとは限らねーじゃねーか!!」
「何だよ!!」
「やるのか?!」
「「ああ?!」」

ガウンッ…!!!

「…てめぇら…うるせーんだよ」

「おお、サンゾー様コエー…」
「うわ、三蔵!!スレスレに撃つなよな!!」
「黙れ。次はその頭ブチ抜くぞ」

後部座席でどちらからともなく始まる悟空と悟浄の揉め合いに
それを沈静化する三蔵の銃声はこの旅の日常ともいえる。

「だって三蔵ー…腹減ったよー…」
「…ハァ」
すっかり大人しくなった上目遣いの悟空。
そしてその底なし胃袋の持ち主に眉間を押さえてため息をつく三蔵。

「アハハ…しかし、弱りましたね。
この辺に街らしき街は無いですし…」
「こりゃあまた野宿か?」
「えー…また?!」
八戒が脳内の地図をたどり情報を提示すれば
悟浄は傾きかけた陽を見つめ今日の寝床を思い
悟空は今日の夕食に憂鬱になる
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