□RAVEN
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花弁を追いかけて
ジープは走り続ける。
「一体何処に連れて行く気でしょう…」
「…」
見失わないように運転する八戒の肩で鸚哥に姿を変えた鶺鴒が顔を上げる
『…玄奘三蔵!アレを…』
「…やっとのお出ましか」
深い霧と森の中に現れた城塞。
『無限城の気配が致します…』
「無限城?」
「終わりのない無限に続く回路って事だ。
おい、悟空。試しに如意棒伸ばしてみろ」
「?うん」
悟空は言われたまま素直に
「如意棒!!」
ギュン!!
「うわぁっ!」
伸びた如意棒は確かに深い霧の中に放った筈なのに己に戻ってくる。
「びっ…ビックリした」
「そういう事だ」
「三蔵、先に言えってそれ…」
『玄奘三蔵、コレを』
鶺鴒が渡したのは真明の鋼糸。
『一度だけ私の『万里を見る目』もお貸しします。
チャンスは…ただ一度だけですよ…』
「クソガキ、俺を誰だと思ってる」
ヒラリと八戒の肩から三蔵の肩に乗り換え鶺鴒は前方を見つめる。
『信じてます』
「フン…」
「三蔵、何をする気だ?」
「いいから黙って見てろ」

1歩前に歩み出る

「…」
三蔵と鶺鴒が目を伏せ神経を研ぎ澄ませていく。

そして

キュイン…!!
三蔵が霧の中に鋼糸を放つ。
それは『何か』を掴んだ。
「…とんだ子供騙しだ」
再び開かれる双眸は鶺鴒の翠の色彩を宿している。
「…!三蔵の目の色が…」
「あれが…『万里を見る目』…」
鋼糸を引いたまま三蔵はその線にそって銃を構える。
「陥落(おち)ろ…」

ガウンッ…!!


銃声と共に深い霧は晴れていったーーーー



「…来た」


ツイと気配の方向へ紫の目が向けられる。



「あらぁもう着いちゃったのー」
その言葉を聞いて你ーーーーー烏哭三蔵法師は不敵な笑みを浮かべた。
「全く…ウサギちゃんの事となると早いんだから…」

光指す祭壇の上には

一糸まとわず眠る真明の姿ーーーーー

「コレでも冷静でいられる?」









何処かで泣き声がする。
幼い少女が何かの前で座り込んで泣きじゃくっていた。
(あ…あれは…)
幼い頃の私ーーーーーー
後ろから近づいて行くと
(ーーーー!!)
視界が緋色に染まる。
『こう、りゅ…う』
赤い海に沈む金糸の髪の少年。
(江流…!!)
『ダメ…

死んじゃ、だめぇぇぇぇっ!!!!』
少年の上にかざした少女の手から白く埋め尽くす光が溢れる。
(ーーーーーっっ)
思わず真明は目を閉じる。

空間は静けさを取り戻した。
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