□THAN
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バタバタと激しい足音が響く

「ん?何だ??」

急な事に悟空が気配を伺っていると

バタン!!ガチャッ。

慌てて扉を締めて鍵をかけた音が続く

「…これってもしかして…」

恐る恐る2階を覗くと…

「おい、真明開けろ!」
「絶っ対、イヤ!!」
三蔵と真明の言い合いが聞こえてきた。
「あー…やっぱり」
思った通りの展開。
「悟空、どうしました?」
「八戒、三蔵と真明が…」
「?」
悟空につられて一緒に覗く八戒。
そこには舌打ちをして
「開けねえなら…コッチから開けてやる」
三蔵が扉の鍵に向けて銃を構えている。
カチャッ
「わわーっ!!三蔵、それはダメです!!」
「三蔵!何ケンカしてんの?!」
慌てて止めに入った八戒と悟空に
「…」
三蔵は銃をしまい、荒いまま部屋に戻ってしまった。
残された八戒と悟空は
事情が分からぬまま真明の部屋の扉を見つめ
「真明?」
そっと声をかけてみる。
しばらく返事もなく
シーンとした空気が漂い
これは、しばらくそっとしておくべきかと2人が顔を見合わせた時
カチャ…
バツの悪そうな真明が顔をのぞかせた。


「ごめんなさい…2人を巻き込んでしまって…」
「オレらは大丈夫だけど…珍しいよな?」
「真明、取り敢えずコレを飲んで落ち着きましょうか…」
「ん…有難う…八戒」
八戒が差し出した温かいミルクを受け取って真明は頷く。
「どうしたんだよ?ケンカしてんの見たの、寺にいた時以来だからビックリした」
「悟空…」
切なそうな瞳は俯いて
「…私が…意地を張ってるのかもしれない」
「意地?」
「うん…最近、部屋を別にしてるでしょう?」
「うん。でもそれはたまたま部屋が取れるからだとオレは思ってたけど…」
「違うんですよ、悟空…実はいつも真明から言われて取ってるんです」
「えっ、そうなの??何で…?」
「私としては、玄奘の『三蔵法師』としての立場を考えての事なんだけどね」
「三蔵の…立場…?」
「三蔵法師というのは最高僧で、全僧達の尊敬の念を集めてるわけだから、やっぱり女僧といるのはよくない想像を生んじゃうでしょ?」
「うーん…三蔵はそういうの気にするなって言いそう…」
「確かに節度的な面では真明の言う通りですね」
「私が甘えたら玄奘三蔵法師としての立場が問われかねないのよね。
そこは私に何とか出来る所だし」
「真明が三蔵に三蔵でいて欲しいってのはわかるけどさ…三蔵はすっげー真明の事好きだから無理だと思うんだけど」
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