□tone
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ふと誰かと繋がった

そんな感じがした


「真明…大丈夫?」
悟空は心配そうに真明の傍を離れない。
「悟空…有難う。大丈夫よ」
「しかし…随分と微熱が続いてますね」
「風邪かと思いましたが…その症状も無いですし…」
八戒が体温計を見つめ
鶺鴒は額に置いた布を冷やし直す。
「媚薬の効果以降ずっとだよな…
三蔵、夜無理させすぎたんじゃね?」
「永遠の発情期と一緒にするな」
「わあ、何か売れないアイドルみたいですねえ」
「八戒、変な喜び方ヤメろって…」
悟浄のからかいをあしらいながら
三蔵は真明が身体を預けているのでそれを身体で支えている。
「…まさか、な」
「…?玄奘?」
「いや…何でもねえよ」
真明以外の『何か』に微かに己の波長が繋がったような
そんな感覚がーーーーーー
「あ、三蔵一行みーっけ!!」
頭上から降り注ぐ声。
岩山の上からヒラリと少女が降り立ち
「李厘チャンとうじょーう!
やい、今日こそ経文を渡せえ!」
ビシッと指を突き付けて来るが、一行はそれどころでは無い。
「…こんな時に厄介なヤツが来た」
「小猿チャン、相手してやれよ」
「やだよ、真明心配だもん」
「やはりココは悟浄でしょう」
「むー!皆でオイラの事を無視するなぁ!」
「今はガキの相手してる場合じゃねえんだよ」
「ん?そのキレイなおねーちゃんどうした??」
「三蔵の彼女。
体調良くないんだ」
「悟空、いちいちヤツに情報をくれてやるな」
「えー!!ハゲ坊主彼女いたのか!」
「誰がハゲだ。とにかく分かったらさっさと散れ」
「ヤダよ!遊んで帰るもんね!」
「あーもう!遊んでる場合じゃねーのにー!!」
走り込んでくる李厘に仕方なく悟空は如意棒を構える。

「李厘!!やめろ!!」
「おにーちゃん!」
李厘を厳しく静止する声が響く。
そこには
「あ…紅孩児様…」
「久しぶりだな、真明」
「真明様、お久しぶりです」
「八百鼡さんも…」
「経文を…とは思ったが…」
目の前の光景に紅孩児は敵意なく歩み寄る。
「どうした」
「大丈夫です…大した事では…」
「熱か…」
「へえ…この子が紅が話していた子か」
横から青年が真明を見やる。
「貴方様は…」
「ああ、挨拶が遅れて済まないな。
俺は独角兕ってんだ」
「独角兕様…」
「こう見えて俺の腹違いの兄貴なんだよ、この人」
「えっ…そうなの?」
悟浄の告白に真明は更に驚き、2人を交互に見つめる。
その仕草に独角兕はクスと笑う。
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