□karma
1ページ/7ページ

真明の身体を完全に下界のものにする為
しばらく街での逗留を決めた一行だったが

ドンッ
宿の扉の前は人でひしめき合い、今にも破れてしまいそうな勢い。
「三蔵法師様ー!!」
「是非有難い説法をお聞かせ下さい!!」
三蔵法師の滞在を聞きつけた街の人々は宿の前に押し寄せていた。
「ちょっ…壊れるって!!」
「何かコレは毎日体力つきますねえ」
「コレ、何のエクササイズ?」
扉を押さえながら悟空、八戒、悟浄は三蔵を見やる。
「「「三蔵、何で1人余裕?」」」
三蔵は真明の出したお茶をすすりながら煙草に火を着けている。
「ああ、頑張れ下僕」
「「「下僕じゃねえよ?!」」」
「皆…ゴメンね。私のせいでもあるし…」
「真明は全ッ然いい!」
「そうですよ。まだ身体が本調子じゃないんですから三蔵にお茶なんて淹れなくて良いですからね」
「真明の為ならこれ位大した事ねーよ♡」
「…何だその掌の返しようは💢」
「まあ、真明様の人徳ですわね」
「うーん…と言うより天女の血のせいでこういう事態招いてる訳だし、むしろ私ねコレ」
彼女の持つ天女の血が街の人々に不思議な作用を起こして惹き付けているのだとしたら
「私がここに居るのがまずいんじゃない?」
「「「真明居なきゃただの地獄でしょ???」」」
「ほお?💢」
キレイに声を揃えた3人に三蔵は眉間に皺を寄せる。
「まあ…確かにここに居てもな」
「?玄奘??」
煙草を消し立ち上がるときょとんと見つめてくる幼馴染の手を取る。
「行くか」
「えっ」
「おい、ぬけがけはズリーぞ三蔵!!」
「河童は扉の飾りにでもなってろ」
「主、どちらへ?」
「気分転換だ。裏から出る」
「ねえ、何処へ…」
いくの、と言い終わらぬ内に手を引かれた身体がスルリと裏口を抜けるのと
扉が破れ人が室内に押し寄せる一行の悲鳴は、ほぼ同時だった。


「可愛いお家!」
小高い丘の上に立つレンガ造りの小さな家が見える。
絵本のような風景に真明の目は輝いた。
「江流、あのお家は何?」
「宿の主人の持ち物だそうだ。鍵も借りて来た」
指に通した鍵を回しながら近づき、鍵を開けると
中はこじんまりとしているが生活出来るように整っている。
「ふふ、秘密基地みたい」
「子供かお前は」
「あら、楽しいじゃない」
やかんに水を張り湯を沸かしながら真明は無邪気な笑顔を浮かべる。
その姿が幼い頃の彼女と重なり
自然と三蔵に呆れたような笑みを浮かべさせる。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ