□ヒミツな2人
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気がついたら

私は1人だった。

「…ふぅ」

全て片づけ終った部屋はガランとしている。
「2人共…居なくなっちゃったな…」
少し前までここで祖母と伯母と暮らしてきた雪華。
その二人が無くなりこの家は広すぎるものになってしまった。

仕事も見つかった。
新しく住む所も見つけた。

今日から本当に私1人ーーーーーー


ゴトッ…

「…痛っ…」
見の周りの物を纏めた荷物を持ち上げた拍子に足元の上に何かが落ちた。
「あ…」
最後に伯母から貰った本だ。

やっぱり1人は寂しくて切なくて

この本をずっと見返しては思い出に浸って来た

何気なくページをめくる。
それには色んな旅の伝記が記されていてーーーーー

「…」

ふと自由になりたい

そう思ったのだった。



「あー!悟浄、またズルしただろ!」
「してねーよ。猿がボっとしてるからだろ」
「そう言うってことはズルしたってことじゃん!」
「ほらほら、2人共、あんまり騒ぐと」

ガウンッ…!!

「…うるせぇんだよ」
「うおー…今日は一発で済んだー」
「三蔵サマってば真明抱えてるから控えめ?」
ニヤニヤと悟浄が助手席の三蔵の姿を見て茶化す。
片膝を椅子の上に立てる形で作ったスペースには彼の恋人が座り、すやすやと寝息を立てていた。
雪華が共に旅をする事で生まれた現象だ。
「僻むなバ河童」
「なっ…僻んでネーヨ!!」
肩に寄りかかる真明を三蔵は愛おしそうに引き寄せる。
その状態を雪華は目のあたりにしている席なのだが
(このお2人、いつ見ても綺麗だなぁ…私も大切に出来る人がいたら…)
また、あんな風に暮らせるかな。
ほぅと息をつく。
「雪華チャン、俺の膝の上にカモン♡」
「へっ、はっ?!」
(こ…ここで…?!)
悟浄の突然の発言にずり落ちそうな眼鏡を抑えて雪華は間の抜けた返事をしてしまう。
「えっ…悟浄…でも」
「ダーメ♡」
拒む事を許されない視線。
そう、雪華は悟浄の誘いは断れない理由がある。
「悟浄!雪華困ってるじゃん!」
「おい、眼鏡娘。ソイツは万年発情期だから気をつけろ」
「言ってくれるねぇ三蔵サマが…」
悟空が避難めいた視線を向け、呆れたように三蔵は雪華に目を向ける。
慌てたように両手をブンブンと振り
「あ、私は大丈夫ですから…」
そんな彼女に悟空の後を経由して…
「!」
「つーかまえた!」
そのまま引き寄せられてしまう。
「ーーーーっ」
「良く出来ました♡」
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