□ENDLESS DAYS
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「真生がお前を拾って来た時、あまりにも幼子だ、飛雷の一族の元へ返すのが1番だと言ったんだがな」
「…」
「『彼女は"あの日"の私だ』
泣きながらそう言って聞かなかった」
「…っ」
「お前が望む限りは共に歩んでやりたいと…自分がそうであったように」
「…真明様が…」
「鶺鴒…お前はどうしたい」
逸らすことも、答え無いことも許さない紫紺の色。
なのにーーーーー私に自由を与える。
(これが…玄奘三蔵法師…)
真明様の『強さ』が『柔』であるなら
玄奘三蔵の『強さ』は『剛』
何処までも強く強く導いて行く。
「私は…"あの日"心に決めたのです」
胸元の守刀にそっと触れる。
刀には小さな桜色の玉

『鶺鴒…こんな形はあなたに相応しくないのかもしれないけれど…
でも今は、きっとコレで『道』を見据えることが出来るわ』

あなたが本当に『歩いていける』ようになったのなら
この玉は外しなさい

これは主従の証ーーーーーー

(いいえ…)
私は『歩いていける』ようになった
私の『道』は
(真明様…)
貴女様の元にーーーーー


「第31代唐亜玄奘三蔵法師…北方天帝使様」
ベッドの上の人物の前にひざまづく。
「私の身心は、この命尽きるまであの方の元に」
「…その覚悟、上等だ」
煙草の煙を吐いてゆっくりと何かを手に取る気配がする。
「『翠星』・鶺鴒」
「…!どうして私の守名を…」
「何を驚く…散々従者扱いしろと言ってたのはてめぇの方だろうが」
「そう…ですが」
守名は真明様が私との主従関係の証として与えたものだ。
その名を呼ぶという事は…
「…くれてやる」
ピンと指で何かを弾いたものが飛んでくる。
慌てて受け止めて見るとーーーー
「あ…っ」

紫色のーーーーー玉

「『白翠星』・鶺鴒。
ーーーーーお前に俺の『半身』の守護を任せる」
「玄奘…三蔵法師…様」
「俺の命よりも大切な者だ…てめぇの人生、懸ける気で守れ」
「はっ…有り難き幸せ」
全ての言葉が主従への結びの証
「この鶺鴒…必ずや主命へ」
守刀に玉を結び深く頭を下げる。
私の姿を暫く神々しい色は見つめ、手近な法衣を取ると、その身に纏う。
「…真生は旅が終われば妻に迎える」
「…!」
「その為に妻問いも済ませた」
「…では」
「勿論、お前も来い」
「はい…!」
嬉しさのあまり、胸の前で手を握る。
(真明様と、いていいんだ…!)
私の、太陽とーーーーーー
「あら、2人で何の話?」
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