□悪戯
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立ち上がり、同じ様に窓辺に立ち、視線を外に向けたまま声に恥じらいが浮かぶ。
「…『ここで引き止められて、拒む間もなく愛されたならーーーーー私はどうなるのだろう』って」
「ーーーーー」
「仏に仕える身で…場所で、有り得ない背徳よね」
「…お前な」
呆れた吐息に交じる切なさは真明にすぐに感づかれてしまう。
あの時
離れる2人はーーーーー同じ願望を抱いたと言う事。
肩までの髪はフワッと揺れ、そのまま柔らかい身が寄せられる。
「私…いつの間にか江流と眠るのが『当然』になったみたい」
「それは明らかに誘ってるな」
「ふふ、バチ当たりかしら…でもね」
首に腕が回され胸に飛び込む愛らしい瞳に見上げられ
「父様達に隠れてイタズラしてきた私に付き合ってくれた江流だから…
一緒に背徳感を持ってくれると思ったの」
「一夜と…どんだけ我慢したと思ってるんだ」
「我慢なんか、出来るわけ無いじゃない」
熱を帯びた唇が重なり、濡れた瞳が告げる。
「江流の事…大好きなんだもの」
「…ったく…生温いんだよ」
再び深い位置まで口付けを交わし、そのまま愛しい存在をベッドに沈める。
慣れた手が真明の帯を解いていく。
「そんなんで足りるか」
「…じゃあ…」
少し考えるフリをして細い指が同じ様に愛しい者の帯に手をかける。
「愛しているわ…江流。
私の事、息が出来ないくらいに愛して」
「…上出来だ」
ゆっくりと身体を重ね融け合っていくように

離れた『あの日』から
本当は1つだった

『側にいて あなたの事を愛してる』

たった1つの気持ちが今ーーーーー


朝を迎えても

側にはあなたが居てくれる








おまけ。

「…真生」
「あ…」
抱き締められ何処までも求められ
それに全て応えたい
「こう…りゅ…そろそろ…用意しないと…っ」
「甘い声で言っても説得力ないな」
「ん…っ」
深く芯を支配される感覚。
真明の表情が恍惚さを浮かべ、意識を手放しかけた
その時
「真明三蔵法師様のお姿が見えません!!」
「真明三蔵法師様ー!!どちらに?!」
ビクッ…!
2人して肩を震わせる。
「ちっ…ここの坊主ども動き出すのが早えな…」
「ど、どうしよう、江流…」
「…取り敢えず支度しろ」
声が段々と近づき…
コンコン…
「玄奘三蔵法師様!真明三蔵法師様が…」
「何事だ」
扉を開けた僧都達は目を丸くし
「…真明三蔵法師様…こちらに居られましたか…」
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