□優しい気持ち。
2ページ/5ページ

「どうした」
「ねえ…コレ」
部屋に入るとおずおずと両手の上に箱を乗せて差し出す。
「ヘイゼル様からクリスマスプレゼント、貰ったの」
「お前は…何でも貰うんじゃねえよ」
「だって…危ないものじゃなさそうだから」
横にストンと座り、上目遣いに三蔵を見つめる。
「江流と開けてって…何だろう」
「…」
箱を手に取り
躊躇なくスルスルとリボンを解いていく三蔵。
箱の蓋を少し開け
「…成る程」
パタンとそのまま閉じる。
「えっ?」
「外行くぞ」
「外??」
スタスタと部屋の外へ向かう幼馴染を
真明も慌てて追いかけた。

宿の庭に出て
「ねえ、江流何なの?」
「まあ、見てろ」
そっと蓋を開けると
「あっ…」
小さな白いものが飛び出す。
それはくるくると真明の周りを回りながら空を目指し
やがて
「…雪!」
空から降り出す白い雪に
真明は両手をかざして目を輝かせる。
「ヘイゼル様のくれたものって…」
「雪華の精だな」
ふわふわと降りて来る小さな妖精を
白い両手が包む。
「あ、ごめんなさい…お昼思いっ切り箱振っちゃったの…」
「振っ…」
驚いたように紫の瞳が絶句し
「気の毒…だったな…お前」
笑いを堪えながら妖精に同情を寄せる三蔵。
彼女が思いっ切り上下に振る様が容易に想像出来たのだ。
妖精はしばらく2人を見つめていたが
更にクルクルと真明の周りを回ってみせる。
白い淡雪のような光が包み
「わっ…」
光が弾けると同時に
白い雪の結晶を模したチャイナドレスへと姿が変わる。
「ほう?粋な事をするな」
「…普段こういうの着ないから…何か恥ずかしい」
モジモジと脚を隠す真明。
その仕草が三蔵の欲と悪戯心を刺激したのか
「他にくれてやるつもりは無いが…
たまにはコレも良いだろう」
「えっ…やっ…江流の手冷たいっ」
柔らかな線の身体を腕の内に収めて露わになっている白い脚に手を這わせると
じゃれるように真明はクスクスと笑って身をよじる。
「大人しくしろ」
「ん…」
唇を重ね
深い場所まで誘うように
やがて白い息が触れる距離まで離れる。
「…江流」
「…その姿、奴らにくれてやるつもりは無いと言っただろう」
「奴ら…?」
きょとんと目を瞬かせた後
「あ!!」
三蔵の肩越しに壁際から覗く4人+2を発見。
「えー真明雪の妖精みたいで可愛かったのに!」
「真明様…白がよくお似合いですわ!」
「おめーらちょっとでも見れて良かったじゃねーか。
俺なんか八戒でギリ見えねーし」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ