□ヒミツな2人
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そう、毎日ーーーーー

(あれ?)

『満足するまで言う事聞いて貰っちゃおうかな』

あの頃は1人が寂しくて
紛らわすようにページをめくって
違う世界を見つめて自分を忘れて

「…悟浄は貴女の寂しさに気づいていたんですね」
「…私、いつの間にか…」

ページをめくる事を忘れていたーーーー



木の向うから見える煙草の煙で彼を見つける。
「悟浄…」
「んー?」
そっと近づいていくと振り返らないままのんびりと煙をくゆらせている。
「隣、いい?」
「なぁに、珍しいな」
「…」
ちょこんと座る雪華を横目で見やり視線を宙に戻す。
その整った横顔を雪華はじっと見つめる。
紅い髪、紅い瞳。
(とても綺麗…)
「なーに見てんだよ。
そんなに見つめられたらその気になっちゃうぞー」
「えっ!?はわわ…」
「お前、ほんっと面白いよな」
露骨に慌てる雪華の反応に心底おかしそうに悟浄が笑う。
(あ、優しい顔…)
いつもすぐに茶化されて
スキンシップだらけで
そんな悟浄に振り回されてると思ってた。
(私に寂しいなんて思わせないくらい…)
「悟浄…あのね」
「本、返して欲しいんだろ?」
「まだ…いい」
「…」
「ちゃんと言いたいの」
バッと急に立ち上がって1つ息を吸って
「悟浄、有り難う…」
「…ばぁか」
くすぐったそうに微笑んで悟浄が立ち上がる。
大きな手がくしゃくしゃと雪華の頭を撫でてそのままスッと彼女の眼鏡を取る。
「あっ!」
「眼鏡を取ると超美女って俺だけが知ってる秘密♡」
「ああ、めめめ眼鏡は返して!」
「返してほしい?」
「うん」
「じゃあ…」
奪った眼鏡をかけて最高に意地悪なウインクをされる。

「添い寝してもらっちゃおっかな」
「そっ…そそそ添い寝ぇ?!」
「あ、嫌ならいいけどぉ?」
「…っやります…」
「よろしい♡」

もう少し
貴方の心地良い『いう事を』聞かせて


差し出される手
強引で優しくて
いつの間にか
私は1人じゃなくなってたーーーーーー












ヒミツな2人・了
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