置き詩

▼書込み 

04/11(Sun) 18:14
それは壱つの
宇佐 世白


不思議な感覚のする
小夜更けて
生も死も知らない
嬰児のような

わたしの何処かが
少しずつ剥落する
微細な音が
聞きたくもないのに
脳裡に谺する

夜は凪いだ海と似て
わたしを靜かに孤独へと
押しやるから
だから詰まらない事に
泪までも抱えて

何時だって良いとずっと
思って居た時日には
もう戻れない
わたしは人形のように
また明日も訪れる孤に
怖れるのだろう

あれが何で在ったか
忘却の彼方は酷く霞み
思い出す意識の綫は

それは廻る春に無くした
壱つの”無”と云う
感情であった

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