準備は万端。
抑えようとしても、知らずに口が弧を描く。
後はナルトが帰ってくるのを待つだけ、だ。











居間でなんとなしにテレビを見る。
既に夜は更け、深夜と呼ばれる時間帯の今、当たれば面白いけど当たらなかったら凄いつまんないよな、と思いながらチャンネルを回す。
どうやら今日は後者のようで、何度チャンネルを回しても面白そうな物に当たらない。

ふぅ、と息を吐いて、おもむろに武器、を弄り、早くナルト帰って来ないかな、と思う。
臨戦状態での待て、は、そわそわして仕様がない。
気配を殺して潜んでいようかとも思ったが、そんな事したってナルトには通用しない。
寧ろ何か企んでいるのがバレバレになってしまう。

それな位なら。
それな位なら、ナルトが帰って来ると同時に仕掛けた方が、まだマシだ。
トラップも無し。
純粋に、楽しませて貰いましょうか。




ガチャ、とドアノブの回る音がする。

来た!!

ばっ、と、お面を顔にずらし、豆を持って立ち上がる。
「ただい…」
「ナルト、覚悟ォ!!!」
「!?」

玄関に走り、ナルトがまだ、ただいまも言い終わらない内に全力で武器、豆を投げる。

「ちょ、お前、何やってんだ…!?」
流石にここまでの奇行は初めての為、ナルトは珍しく動揺していたが、やはり投げた豆はきっちりかわしてくる。
続けざまに第二波、三波を投げる。

「かわすなナルト!鬼は外!福は内!!」
「当たる訳ねぇだろ!何なんだ突然!!」
「節分だよ豆まきだよ!」

力の限り落花生を投げる。
食卓の角に当たってぐしゃ、と殻が潰れるのが視界の端に見える。

「じゃあ何で鬼の面被った奴が豆投げてんだよ!」
「良いじゃんそんなこまい事!!気になるならナルトが被ってよ!」

言い合いながらも豆を鷲掴みにして投げる。

「だいたい豆まきって人に全力で豆をぶつける行事だったか!?」
「そう!全力で豆をぶつけ合う行事なの!!」

なかなか当たらないナルトにじれながら、半ば叫ぶ様に返す。


「………へぇ、」
「!」
「…ぶつけ合う、ね……」
「…!?」

いつの間にか豆を持ったナルトが、にや、と笑う。

「覚悟は、出来てるよな?」
「……!!(……マズった!!)」










×


一言ありましたら是非!!



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