□午後、気付いたこと
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「おーい、席つけー。今日はなんと席替えしちゃいまーす」

一段とざわつく教室で、窓際で一番奥の○だけは、いつも、落ち着いていた。…いや、落ち着いているという表現も何か間違っている気もする。ただ、じっと一点だけを見据えている。

・・・・おいおい、そんなに見つめんなよ、銀さん照れちゃうじゃな…って、そうじゃなくて。
こいつは動かねェんだよな、くじ引きだって言ってんのに。頑として動かねェし、その間もずっと見つめて何にも言わねーし。他の奴らもなんも言わねェし。何なんだよ…。こっちはもう気になって何にも手につかねェっての。

「あー、残りの時間はアレな。自習。静かにしてろよー」

授業なんかできかっよ。こんな晴れた午後一の時間・・・昼寝にもってこいじゃあねェか。






窓から吹き込む風が気持ちいい。…黒い髪がサラサラなびいて、いつもはおっきな瞳は、差し込む光に目を細めてる。案外、かわいい顔してんのな。



何見てんだよ、いつもは俺の事見てんのに…。




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