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□出会わなければよかったの
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「……まだ会ったりしてんの?」
声が出なかった。アスマと紅さんの式に出たけど、それでも好きで、好きで。カカシはそんなあたしに聞いてきた。カカシの顔も見れなくて、振り返らずに、うん、と頷いた。

「お前だって、わかってんデショ?もう、おしまいだって。あいつも何考えてんのかね?お前の事式に呼ぶなんて。」

「…紅さんに呼ばれたから。アスマは知らなかったと思う……」

ため息つかないでよ、あたしだって、こんなのダメだって、ちゃんとわかってるんだから…




数日後、人づてにアスマと紅さんが旅行から帰って来たと聞いた。

電話、してみようか…声だけでいい、声だけでも聞きたくて。部屋に独りでいると、あなたと過ごした日々が、目について苦しいの。だから、お願い、声だけでも聞かせてほしいの。

受話器を持つ手が震えてる、何度置こうと思っただろう…。紅さんの顔が、頭をちらつくけれど…。


違うんだ、違うのよ。あなたの築いた家庭を壊すなんてそんなつもりはないんだよ。

ただ、好きなだけ。愛してしまっただけ、ただあなたの腕にもう一度抱きしめてもらいたいだけ。叶わないって、分かっているよ。


好きになることを、止められないのに、もうあなたしかいらないのに。


ひどい言葉で罵って、私の中から消えてよ、お願い。



あなたの置いていった煙草は、誰にも吸われずにまだあたしの部屋にあって、煙たいと目に涙をためてたあの頃が懐かしくてたまらない、また笑ってよ。子供だなって頭をなでてて。








初めからわかってた、いつかはこうなるってわかってた。
あなたを知らないあの頃に帰りたい。





出会わなければ、よかったの。





(そんなこと、あたしにはわからないよ…)


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