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□ワンナイトオンリー
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先輩には、なんか浮いた話ばかりであたしのことなんていつまで経っても見てくれないんだって…もう、とっくの昔に気付いてた。
あたしには、「良い先輩デショ?」 って顔を貼付けて、それを崩してくれることなんてなくて、でも、先輩は、あたしと同期のくの一に 「男」の顔で話をしていた。
所詮、あたしは先輩にとってはただの後輩でしかないんだ…。
わかってる、わかってるけど…
その日は、新しい上忍の歓迎会だった。先輩は両手にきれいなひとをはべらして、垂れた目をより一層垂らしていた。ちくしょー!先輩のバカヤロー!飲んでやる!飲んでやる!女なんて忘れて飲んでやる!
周りはあたしの飲みっぷりに、歓声をあげて、勝負だコラ!とかなんとかいってるのが聞こえた。(たぶん特上のあいつら)でもそれもどんどん聞こえなくなって、いつの間にか眠りに落ちていた。
気付いたら、ゆりかごにのったみたいに暖かい誰かの背中におぶさってもらっていた…
酔ったあたまではそれが誰かわからなくて、近くにいた、ゲンマさんとかライドウくんだろうと、いつものよーに先輩の話をした。
『ねー、今日も喋れなかったよ…。それにさァーまあたきれいな子連れてたねェ…はーほんとやんなる』
ねーちょっと聞いてる?と頭をぺちぺち叩くと、「誰の事いってんのよ?」とか言い出したから、『カカシ先輩に決まってんじゃん』と、返せば あっはは、と笑い出した…背中から伝わる声が心地よくて、あたしはまた眠ってしまった。
気がつくと、まだ窓の外は暗かった。頭がガンガンして、まだ眠れることに安堵して寝返りをしたら、あたしの隣に先輩が寝ていた…自分の格好にも気付いて、突然昨夜の事を思い出す。酔った勢いとはいえ、カカシ先輩とだけは、こうなりたくなかったのに……。いらぬ事を口にしてないだろうか?「好き」なんて言っていたらもう会えないよ…。
朝日が昇る前に、きっと、今ならまだ間に合うから…また良い後輩の顔して会えるから。
ONE NIGHT ONLY
ほてった体は虚しさしか教えてくれない。