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□ビー玉の瞳
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雪が降り出した。




なんとなく積もればいい、と


そう思った。












置屋の妓を身請けした。名前は○○という。柄にもなく思うのは、このままずっと2人っきりでいれたらなぁ…と。



ここまで長かった、○○を落籍すと言えばあっちやこっちの男共がひとりふたりと名を挙げた。

ただ、「真選組の土方」と聞くや否やすぐに声あげるやつはいなくなったと女将さんに聞いた。



○○がやっと俺だけの○○になった。






このまま雪が積もっちまって、戸が開かないくらいまでずっと積もればいい。



周りの音なんかなんにも聞こえずにただただ俺達2人だけの音だけになればいい。






雪が溶けたら、どうしてくれよう…
また書類の山積みになった部屋に戻るかと思うとうんざりする。
でも○○を落籍すことができたのは総悟の暴れぶりが少なからず影響してるのかと思えば、後処理すんのも仕方ねェな、なんて少し思う。

「クッ…」


『だんなさま?』


「いや、なんでもない、」


布団ごそごそ、擦り寄る○○の額に口づけ。


……猫みてェ




『○○はしあわせです。だんなさまとずっと一緒で…』

「○○、もういい。そういうの。」

『いいえ、嘘ではありません。○○は店にいるころからだんなさまをお慕いもうしておりました。』




刹那に見せた悲しげな瞳になにを映したかなんて俺にわかるときがくるんだろうか?








ビー玉の瞳、びーどろのこころ

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