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□名前も知らない恋だけど
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最近お気に入りの場所。河川敷。いつも太陽が向こうの方に沈む頃、ここに来ては、ボーッとしてる。気がつくと、ため息ばっかついてるけど…

(はぁ〜…)


これで6社目。あたし、就職とかできないのかも…周りの友達は、ぽんぽんと内定決まってって…


「『ハァ〜…』」


今のため息に違和感…ちら、と横を見ると、最近毎日いる彼。スーツを着ているから(と、いっても、Yシャツははだけた感じだし、ネクタイも、あまり意味をなしていない)、一応は会社員のようだ。でもどうなんだろう?その赤毛は…

あたしの視線に気付いたのか、男はちょっとこっちを見た。そして手元の石を川に投げて、向こう岸の方まで跳ねさせた。

(おぉー!)

驚いた顔で見てたら男は、ニヤリと笑ってあたしに近づいてきた。

「お前、ため息つき過ぎ」

『はぁ、すいません』

そう言ってあたしの横に腰を降ろすと、教えてやるよ、と言ってきた。なにを?と聞き返すと、ニカッと笑って、「石 投 げ 」と言って、また投げた。そして、また明日な。と帰って行った。

明日も…



面接がんばろ…


●〇●

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