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□やきいもメヌエット
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すきだとかきらいだとか、言葉にできないあたしだからこそ、あなたには伝わってるといいなァ…なんて勝手に思ってるんです。



「風が気持ちいいね」

『ほんとね』


「もう少ししたら焼き芋やさんくるかな」

『ふふ…』


「そしたらひとつ買ってさ、はんぶんこ、しよっか?」

『そうだね』




退は優しい…。



上手に言葉を使えないあたしは、退に不快な思いをさせてやいないだろうか?

ほんとはもっと退とおしゃべりしたい、そうして笑いあいたい。



退の垂れた目が細くなるのを見たい、 退の笑った顔、もっと見たい、できれば休日も一緒に過ごしたい。







「○○?はい、やきいも!あっついからね」

『…ありがと』


黄金色のおいも、隊服のままのあたしたち。


仕事中だってのに、こうしてベンチに座って過ぎる夏と訪れる秋の真ん中にいることが、心地いいようで、だけどあたしの胸に湿った空気を送り込むんだ。 退はなにを考えてるんだろう?ミントン?あとは報告書とか? 退もこうして想いを伝えられずに悶々としたりするんだろうか…




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