サンジ

□冷たい唇
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しとしと降る雨に、まだ帰らない彼を想った。



付き合いはじめて数年、
そのうちの2年、私たちは離ればなれになっていたけれど、たった2年離れただけ…そう思ってるのは私だけ?


ずいぶんと様変わりしたサンジに未だに戸惑う事がある。



可愛い女の子たちに本気で参っちゃってるし、ちょっと見つめられただけで鼻血出してるし…


そのくせどうして、私を見てくれないの??
なんであんなに素っ気ないの?




また「徐々に慣らしてかないと」なんて言って船を降りたまんま。雨だって降ってきたんだから…早く私のところに帰ってきてよ。



『私、2年経って魅力が無くなっちゃったのかな?』

「そんな事ないと思うわ。前よりずっと魅力的よ?」

ロビンもナミもすっごく綺麗になったのに…
私だって、少しは大人っぽくなったでしょ??
……!!それともサンジは、昔のままが良かったの??


『うぅ…』



「ほーら!大丈夫だから!アンタは悪い方に考えすぎよ。見て、部屋の外。」



部屋の窓には相変わらずの雨。だけど窓枠の端にちらちらと金髪が映る。



『…!サンジッ!!』


勢いよくドアを開けると、雨に濡れたサンジ。少し困った顔をして、私の頬を、その大きな手で包んだ。




「……」

『声、掛けてくれれば良かったのに』


ふるふる、と首をふるサンジ。髪から水滴が飛んだ。


「おれ、不安にさせてたんだね……ごめん」

『…サンジ』


「相変わらずこんなおれだけど、まだ好きでいてくれますか?プリンセス」


もちろんだよとは声にださなかったけれど、抱きしめた腕の力で伝わればいい。


そしてそっと、私の額に触れたのは・・・




冷たい唇




さあ、こんなひはふたりであたためあおうか?



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