short4

□できればずっと一緒にいたい
1ページ/2ページ



10日は坂田先生の誕生日。この学校に赴任してから、間もなく、彼に想いを寄せているわけだけれども。何年経っても一向に進展しないでいる。



『…授業の準備しなくちゃ』


「おー…○○さん。」


『さささ、坂田先生っ…』

「はい?」


『お、おた、おた』

「…?」

キーンコーン…


『…は!予鈴だ!失礼します!』

もうっ!私のへたれ!


*


『…うん、ではちょっと早いけど今日はここまで!』


教材をとんっと揃えて、志村くんの号令を待つと、後ろのドアががらがらと開いた。

みんな一斉にそちらに意識が向き、私も今頃登校するのは誰だろうなんて思いながら視線を向けると、



「…授業中すんません」


『さささ、坂田先生!?』


そうだ、ここは坂田先生のクラスだった!


『授業はちょっと早いけど終わりました。…あと5分、みんな他のクラスはまだ授業中だからねっ』

坂田先生と、生徒たちへと声を掛けて、揃えた教材を手に、教壇を降りた。


「○○さん、授業の前に何か言いかけたじゃないっすか?気になって気になって、授業に身が入らないんですわ」


「いつもの事だろ」なんて誰かの声が入り、かぁぁと顔が熱くなった。

『…いえ、たいした事じゃないんです。ほんとに。』


「○○先生顔が真っ赤アル」
神楽さんの声に余計頭が熱くなった。

「神楽ちゃん、こういう時は静かにしておくものよ」

「ほーい」



あぁ、涙が出そう。こんなのいたたまれない。まさかこんなことになるなんて…

しんとした教室に

「コイツらの前じゃ言えませんか?」

坂田先生の声が響いた。



.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ