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□できればずっと一緒にいたい
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10日は坂田先生の誕生日。この学校に赴任してから、間もなく、彼に想いを寄せているわけだけれども。何年経っても一向に進展しないでいる。
『…授業の準備しなくちゃ』
「おー…○○さん。」
『さささ、坂田先生っ…』
「はい?」
『お、おた、おた』
「…?」
キーンコーン…
『…は!予鈴だ!失礼します!』
もうっ!私のへたれ!
*
『…うん、ではちょっと早いけど今日はここまで!』
教材をとんっと揃えて、志村くんの号令を待つと、後ろのドアががらがらと開いた。
みんな一斉にそちらに意識が向き、私も今頃登校するのは誰だろうなんて思いながら視線を向けると、
「…授業中すんません」
『さささ、坂田先生!?』
そうだ、ここは坂田先生のクラスだった!
『授業はちょっと早いけど終わりました。…あと5分、みんな他のクラスはまだ授業中だからねっ』
坂田先生と、生徒たちへと声を掛けて、揃えた教材を手に、教壇を降りた。
「○○さん、授業の前に何か言いかけたじゃないっすか?気になって気になって、授業に身が入らないんですわ」
「いつもの事だろ」なんて誰かの声が入り、かぁぁと顔が熱くなった。
『…いえ、たいした事じゃないんです。ほんとに。』
「○○先生顔が真っ赤アル」
神楽さんの声に余計頭が熱くなった。
「神楽ちゃん、こういう時は静かにしておくものよ」
「ほーい」
あぁ、涙が出そう。こんなのいたたまれない。まさかこんなことになるなんて…
しんとした教室に
「コイツらの前じゃ言えませんか?」
坂田先生の声が響いた。
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