Short2
□brilliant
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窓から零れる橙の灯りに浮かんだ人を見て、静かにその人がまた船の中に入るまで身をひそめていようと思っていたのに…
『ひぃッ…』
思わず出た声に、自分でも驚いて口を手で隠したけれど。
「……ック。誰か…いんのかァ?」
それは、それは、赤髪海賊団の大頭…
サクサク、と 昼間雪掻きをしたにも関わらず積もった雪の音を鳴らしながらこっちに近づいてきた。
震える足に喝をいれて、船尾の方へと逃げてみる。だって…大頭となんて、喋ったことないもの!緊張して、ボロ出すに決まってる!
「…んぁ?誰もいねぇじゃん…んだよ」
酔っ払った様子の大頭は、ぶつぶつなにか言った後、柵に寄り掛かりながら、空を見上げていた。つられて私も見上げれば…
どうして今まできづかなかったんだろう? 物凄い数の星たちが冬の澄み切った空を照らしていた。月がないせいで余計に綺麗に輝く星に、大頭も見入っているようだった。それにしても、あんな恰好で寒くないのかしら? ……きっとそういう神経も鍛えたに違いない!ここに隠れてるだけで彼のオーラというか…そんなものがジンジンと押し迫ってくるようだ。
「ありゃ、なんてー星だろーな…ふたっつ並んで…」
大頭が眺めていた空を見て、きっとそれがカストルとポルックスに違いないと思った。教えてあげたい。でも私みたいな下っ端が話し掛けていいもんなのか…だけど星の名前くらい…
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