□言った後で、後悔しました
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いつまでも続くおいかけっこにあたしの息も上がってきた。それでも隊長は涼しい顔で追いかけて来て…さすがにこれ以上は無理と思い、クルっと180度回転してみる。すると隊長はニコッと爽やかな笑みをこぼして「やっと俺に抱かれる準備ができやしたか?」とかなんとか言っている…

『隊長!お話があります!』

「なんでィ、水臭ェな、総悟って呼べって言ってるだろィ」


あー、隊長。そんなにかわいい顔で笑わないで下さい。あたしは今からあなたに酷い事をいうんだから!

『隊長、あたし1番隊じゃなくしてもらおうと思うんです。ほら、今から副長に頼みに行くんだから邪魔しないでくださいね』

そう言って目の前の副長の部屋の戸に手をかけると、隊長は切なそうな声で言いました。



「○、おまえ、俺とちょっと鬼ごっこしたくらいでそんなに息切らしてるのに、他の隊の稽古に混ぜてもらえると思ってるんですかィ?」













「あと。総悟って呼べって何度も言ってるだろィ」







隊長はそれだけ言うともと来た道へ戻って行きました。 たぶん、これからあの変なアイマスクして昼寝をするんだと思います。でもどうして? あたしは鼻の奥がツン、として泣きそうな気分です。あんな事言われたからでしょうか?障子の向こうから土方さんが言いました。

「そういうこった、○。もうちっとそこでやってくれや」

はい、とあたしは言いました。




言った後で、後悔しました。






まさかあなたがそんなに傷付くとは思ってもみなかったんです。

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