□タイムトラベル
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あたしは、彼にこれまでの経緯を話してみた。その間ずっと黙って聞いてくれた総悟さんは、「そういうことか」とぽつり、と呟くとあたしの手を引いてどこかに連れ出した。今までいた建物から出ると、辺りはもう真っ暗だった。だけどそれでもあたしのいた頃とは違うとわかる。空にはおびただしいほどの宇宙船が飛んでいたし、明らかに人間でないのとすれ違った。そして行き着いたところは、湖だった。ここは変わってない。あの宇宙船もあたしの時代ほど苔が生えてなくて。

「ここだろ?とりあえずもう1回飛び込んでみなせェ。」

『え!?』
掴まれていた手が離されたと思うといきなり突き飛ばされた。

やだ!深い!あたし泳げないのに!

『総、悟さん!あ、あたし泳げない、んです!』

「! 先にそれを言えよ!」


『はぁ〜。ありがとうございました。』

「○は馬鹿ですかィ?突き飛ばしたのは俺ですぜィ?」

総悟さんは、むせてるあたしの背中をさすりながら小さな声で「ごめんな」と言いました。

あたしは本当に知らないとこに来てしまったんだ。頭では理解してたつもりだったのに、なんだか急に泣きたくなって、わんわんと大声で泣いてしまった。総悟さんのせいじゃないのに、ずっとあたしが落ち着くまで「ごめんな」と言ってくれていました。



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