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□夏まつりシリーズ
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「あ、銀八。と、●●先生」
「おぉ、お前ェらあんま遅くまで遊んでなよー」
なんでそんなに普通でいられんのよ!やだやだ恥ずかしい!
「あれ〜?どしたの、顔赤くしちゃって!なになに、銀さんの事意識しちゃったァ?」
キッ、と坂田先生を見ればいつものやる気のない目に、でもちょっと自信のあるように微笑んで。
『からかわないで下さい!』
周りに人がいたって、その人たちがあたしの声に驚いてたってもう我慢できないんだから。そうやってちょっと年上だからって余裕ぶって!
振り返った銀髪がオレンジに反射してキレイだって、いつもは閉じそうな目が大きく開いてたって。そんな坂田先生にみとれた自分がいたって、驚いてやんないんだから!
「からかってないって。泣くなよ…」
なんでよ、いつもみたいな顔しててくれなきゃやだよ。そんな風に頭をなでないでよ。
『好きになっちゃうじゃないですか…』
「……それ、いいね。」
撫でてた右手に頭を引き寄せられて、坂田先生の口にあたしのが当たって、その瞬間だけ切り取ったみたいになんにも聞こえなくて、でも離れた途端に音が溢れ出して、祭囃子や迷子放送まで。
恐る恐る先生を見たら、優しい顔して笑ってた。
「あー、イチゴのシロップにしときゃ良かったな。レモン味のちゅーなんてベタ過ぎだよな」
悔しいけど、あたしはこんな不良教師の毒牙にかかってしまったんだ。
切り取って、この瞬間
(キュンてしたなんて、内緒にしとこう。からかわれるに違いない。)