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□Birthday Eve
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部屋の電気を消して、もう寝ようかなんて布団に入ろうとしたときいきなり明るくなった携帯のディスプレイ。あたしを呼び出しているのは、どうせ仕事で明日のことなんて忘れてると思っていた彼氏から――――





23:15 着信 土方 十四郎




『もしもし?』

「悪ィ…、寝てたか?」

『ううん、まだ。どうしたの?』

そんなこと、ほんとは聞かなくても解ってる。明日だめになったんでしょう?



「いや、ちょっとな。……お前今から会えるか?」

『どうしたの!?急に!』

「別にどうってわけじゃねェけどよ」

『ドライブ!久しぶりにドライブ行きたい!』


「ドライブぅ?んー…パトカーでもよけりゃいいけどよ」

『じゃ着替えるから、20分後ね!』

「あ、ちょ…オイ!」



なにか言いかけてたのはわかったけど切っちゃった。そうすれば早く仕事も切り上げて来てくれるでしょ?

もう1ヶ月も会えなかったのは仕方ないって思えても、やっぱり会って伝えたい事だってあるから。


さっきまで着てた着物に袖を通して、軽く化粧をして。


きっと外に出ればもう迎えに来てくれてるから…!





『お待たせ!』


パトカーのドアを開けて助手席に乗り込めばいきなり言われること、「お前な、いきなり電話切るなよ」。だって会えると思ったら嬉しくて… 恥ずかしいから口には出来ないけれど。



こんな時間に行く宛もなくてなんとなく走るパトカー。端から見たら深夜のパトロールだけど、


『なんかパトカーでデートって悪い事してるみたいだね?』


「慣れっこだろーが」

いつもは煙くて仕方ない煙草の匂いも久しぶりだとこんなに愛しいんだって、なんとなく思える。きっと今だけだろうけど。




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