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□やきいもメヌエット
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あたしよりも一足先においもを食べ終わった彼はベンチから足を投げ出して大きくひとつ伸びをした。 く、あ〜〜〜 なんて漏れた声にあたしはいもを ごっくんと飲み込んだ。 急いで飲んだせいで詰まった芋に、苦しんでいると

「ちょ、なにやってんの?そんな急いで食べなくていいのに!」


大丈夫?と背中をさすってくれるから心臓はいつも以上に動いているようでドクンドクンと痛くなった。


やっとの思いでおいもを胃に流し込めば今度は涙がぽろぽろこぼれた。

「ちょ、○○〜!?どうしたんだよ、まだ詰まってる?なんか飲み物買って…」


慌ててベンチを立った退の隊服を引っ張った、 違うの…って。


違うの違うの、もうおいもは胃液に溶かされ始めたわ、違うのよ、今度は胸が苦しいの。


こんなに退が好きだって、おいもが詰まるのより苦しいんだって、ちゃんと言いたいのに、言葉にならない



「○○…?ん、待ってるからさ、もう少しこうしてよっか?」

『退、私ね、』



言えるかな、云えるかな?
焼き芋に背中を押された私だけども。


涙を拭いて顔を上げたら目が合った。


にっこり笑った退はそのあと、そっと口づけをくれました。



「伝わってるよ、大丈夫」




瞼にひとつ、頬にまたひとつ、



『好き…』



「俺も」





焼き芋メヌエット


(手、繋ぐ?)


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