Short2
□銀八さいどすとーりー
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「先生は生徒に慕われていいですね」
また、意味深に笑った先生は資料を持って教室から出ていった。
「………」
でもあいつから嫌われてちゃーな…
窓を開けて、風を教室に送り込む。ポケットからタバコを出して一服。煙りで満たされた肺に新たな酸素を送るべく、深く息を吐いてみる。
結野先生にも相談出来ず仕舞い。新八神楽にも話せず仕舞い。なーにやってんだろ、俺…。
話したところで、何かが変わるわけないのにな…。
帰るか…。
学校に残ってたってしょうがない。早く帰れるときに帰っとこう。だけどあと一服。また新しい一本に火を付けて、口から出た煙りが漂いはじめた頃、背中越しにドアの開く音がした。
「結野先生?なんか忘れもんすか?」
なかなか返ってこない返事になんにも思わないくらい俺の意識はあの頃へ飛んでいた。
『先生、学校は禁煙ですよ…』
「だーから!これは――――」
懐かしいやり取りにはっとして、後ろを向けば―――
都合のいい夢を見てるみてェ。頭に居座る制服姿のあいつが、目の前に今の姿で現れた。
胸が苦しいのは、立て続けに吸ったタバコのせいにするとしよう…
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