他校×阿部(1)
□20minute in to the future
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珍しく夕暮れ時のコンビニに入ったのは、島崎の手料理をご馳走になるのに、せめてアイスの手土産くらい持参しようと考えたから。
最近のコンビニは惣菜なんかも売っていて、充実している。
レジで前に並んでいた20代くらいのカップルは、コンビニを出てからもしばらく同じ方向に歩いていた。
夕日に照らされながら、数メートル前を仲睦まじげに歩く。
片手にコンビニの袋、もう片手には……
え?……マジ?
20minute in to the future
大学入学前の春休み、自宅から通学圏内の大学に合格したオレは、たいして忙しくもない日々を送っていた。
自宅から通学圏内とはいえ、駅に近い島崎の部屋からの方が格段に利便が良いが、事情により同居には踏み切れないでいる。
昨年末、ヨリを戻す前の俺達の関係は、随分と不安定な土台の上にあった。
イメージにすると、アレだ。アメリカのキッズアニメに出てくる穴がたくさん空いたチーズ。
そのチーズの上に、関係を築き上げようとしていた。
一度失敗して、仕切り直して今度は大丈夫…なんて言ってみたけど、チーズの穴はまだ全部埋まっていない。
たった一言で7割方埋まったし、時間だって充分かけてるのに、まだどこか不安定だ。
会えなかった時間を埋め合わせるくらいには会って、話したりしているのに。
キス止まりって。
今時中学生でもナイだろ。…つか、止めてるのオレだけど。