西浦×阿部(1)
□flower
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※都合により2年生。
新学期始まってすぐの誕生日なんて、スルーされ慣れている。
多分、水谷と同じくらい慣れている。だから、二年になって違うクラスになった阿部がふらりと昼休みに弁当片手に持ってきて、
「そーいや、あの花どうなった?おにーちゃん」
って言った時は、まじで茶を噴くかと思った。
「…って、おま」
「あの花だよ。ちゃんと育てるとか言ってた球根」
「っおにーちゃんって何だ!?」
「おにーちゃんだろ?一才歳とってオメデトウ」
ニヤって笑った阿部は明らかにオレの反応を楽しんでいて、思う壺な反応を返した後じゃ仕方ないが、これ以上ムキになって弄られるのもイヤだから、してやられた表情はそのままに「どーも!」って言っといた。
どうも、この力関係は初めて会った時から覆せないままだ。
「で?」
「ん?」
「花は?」
ああ、揶うネタじゃなくて、本当に気にしてたのか。
「咲いたぞ、ほら」
徐に携帯を開いて、待ち受け画面を見せる。
…高校生の携帯の待ち受けが自分が育てた花なんて、ちょっと恥ずかしい気はすんだけど、いーだろ嬉しかったんだから!
「へえ…」
阿部はそのへんは突っ込まずに、携帯の中で咲くオレンジ色の花を見る。
口の端が嫌味にならないくらい、ちょっとだけ上がってて嬉しそうに見えた。
「頑張ったじゃん。おにーちゃん」
「おにーちゃん言うな」
「なんで。可愛い弟出来たみたいで嬉しくね?」
「かわいかねーし、嬉しくねー。妹二人で充分だ」
「…あ、そーか。リアルに妹いたら、そんなもんだよな。オレも弟いるし」
「だよ。妹萌えとか、アレ絶対妹いないヤツの妄想だよな。そんな目で見るとかぜってー無理」
「ってことは、やっぱ弟じゃ駄目か。そんな目で見れねーって事だし」
……うん?
何かいま、すごい事サラッと言われたような気が……