西浦×阿部(1)
□Look At Me!
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※たくさん捏造。
9組→阿部。『すてきな片思い』続き。
9組の今日の体育の授業はサッカーだ。
授業と言ってもスポーツに理解がある高校のそれは、クラス内で簡単にチーム分けしていきなり試合を始めるからスポーツが苦手じゃない生徒にとっては遊びと変わらなかった。
そんな時勢い付くのは野球部4番のスーパースター田島で、そのアシストに活躍するのは三橋だ。
もう一人の野球部員はというと、特にサボっているわけではないが周囲に溶け込んで、そこそこにパスを繋いだりしていた。ちなみに二人とは敵チームだ。
2−0
サッカーのこの点差は小さくない。
まだまだ点を取る気の田島を相手に、泉のいるチームは早くも戦意を無くし始めていた。
「よーし! 次も点入れるぜ三橋!」
「お、おー!」
そんな後半開始10分。
今までボールを持ったら、すぐにパスしていた泉が、中盤でトラップしたボールをそのままドリブルで走り出した。
勿論マークされるような働きはしていなかったから、ゴール前までは完全に独走。ブロックにきた2人をボールキープしたままジャンプでかわし、パスを出す。すぐに俊敏な動きで敵チームの間を擦り抜けた泉の元にワンツーで戻ってきたボールは、次の瞬間いとも容易くゴールネットを揺らした。
「ゴール!」
「やったな、泉!」
「あと1点!」
クラスメイトにぐりぐりと頭を撫でられ、背中や肩を叩かれながら笑っていた泉が、ポジションに戻りながらちらりとラインの外を見た。