□I love you.
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『石田ってムラムラすることあんの?』
『君は馬鹿なの?』













放課後、黒崎が僕の家に来て他愛もない話をして帰る。
これが僕らの日常。



『なあ、石田』
『何?』

『石田ってムラムラすることあんの?』
『君は馬鹿なの?』


なんでいきなりそういう話が出てくるんだ。
しかもなんだその馬鹿にしたような言い方。

ちょっとムカついたから、言い返してやった。



『黒崎も僕もこういうことには淡泊だし』
『……』
『君だって僕に触りたいだなんて思ってないだろ?』



ダンッ



床に強く押し倒される。
手首を驚く程の力で握られ、痛いと言おうと口を開くとそのまま乱暴な口付け。


『んうっ…』


黒崎とのキスは初めてではない。
けど何時もは唯合わせるだけの、包み込むような優しいキスだったのに。

『ふっ…んん…はあ…っ』

こんな、こんな噛み付くような乱暴なキスなんて、知らない。




『……思ってるよ』
『っ…はあっ…』
『思ってるよ。お前のことぐちゃぐちゃに犯したいって。気絶させるぐらい気持ち良くさせてやりたいって』
『くろさ…き…』
『けどそんなことしたら、石田が痛い思いするじゃねえか。』

―そんなの、嫌だ。




眉間に皺を寄せたまま俯く。
その横顔は怒っているようで。
少しだけ、寂しそうで。


なんだろう。
ものすごく、愛しい。


『ごめんね、黒崎』
『………』


拗ねたようにそっぽを向くオレンジ頭をよしよしと撫でる。

『僕の為に我慢してくれてたんだよね。ごめんね』

そう言って黒崎の頬を両手で包んで、ゆっくりこちらに向かせた。

『ありがとう、黒崎』




不器用な彼が自分を気遣ってくれたことが、大事に思ってくれていたことが、本当に嬉しいと感じた。

この温もりを離したくないと、思った。











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