騎士×皇子

□『末皇子ルルーシュ』
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 世界を帝国が統一して百年。その年、皇帝の第三妃マリアンヌは、紫色の瞳を持つ美しい皇子を生んだ。

 ルルーシュと名付けられた第三皇子は、少しの波乱と、多くの幸福を得て人生を送る。

 これは、その最初の物語。








「ルルーシュ」

 そう名を呼んだのは、一番上の兄シュナイゼル。今年十二歳になったルルーシュとは六歳違いの、十八歳になる青年だ。

「また教授の授業をサボッたそうじゃないか。駄目だぞ」

 会った途端の小言にルルーシュは、ちょっとだけムッとしてしまう。

 皇帝を手伝って公務に忙しい兄とは、なかなか話す機会もない。だから、こんな風に声を掛けて貰えた時は、本当は飛び跳ねてハシャギたい程に嬉しい。

 けれど小言かと思うとガッカリで。

「そんな顔をするなルルーシュ。人の上に立つべき皇子として、常に毅然としていなさい」

「………はい」

 今度こそションボリと、ルルーシュは小さな肩を落とした。大好きな兄に叱られてしまったのだ。

 こんな時の兄といえば弟には弱いもの、シュナイゼルは、ついつい甘い言葉をかけてしまう。


「ルルーシュ、私の前だけなら気を緩めてくれても構わないよ」
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