騎士×皇子
□『裏話(ルルとロロの秘密会議)』
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これは、二人がキスを交わすより前の話。
澄み渡る雲一つ無い晴天、そんな爽やかな朝のこと。
「は――…っ」
朝食を終え、食後のデザートと美味しい紅茶を目の前にしたルルーシュは、お行儀も悪くテーブルに両肘を付いて、深い溜め息を吐(つ)いた。
「ルルーシュ様、そんな格好お兄様方が見られたら何ておっしゃられるか…。それに溜め息なんか吐いて、幸せが逃げてしまいますよ」
優しくいさめるのは、乳兄弟で侍従のロロ。
「………」
「ルルーシュ様」
もう一度呼ばれて、やっとルルーシュは姿勢を正した。
そしてチラチラッと、ロロを見る。何か言いたい事がある時のサインだ。
「ルルーシュ様…?」
ロロは、促すように待った。
「スザクが…」
「スザク様?」
「気付いてくれないんだ」
「何をですか?」
「鈍感なんだ!」
スザクの馬鹿――…、と叫ぶルルーシュ。もう完全に癇癪だ。
ロロは慌てて両耳を塞いだ。
「それで、何があったんですか?」
新しいお茶をカップにそそぎながら、ロロは訊ねる。
叫んだルルーシュは、取り敢えず落ち着いたみたいで、ポツリポツリと話し始めた。
「本当にスザク様は鈍感な方なんですね」
ルルーシュの話を一通り聞いて、ロロが漏らした感想だ。
スザクとの再会を果たして半年近く、ルルーシュは自分の気持ちを然り気無くアピールしてきた。つもりだった。
例えば、判りやすく焼きもちを妬いてみたりとか。手を繋いだりとか、ジッと見詰めてみたりとか。
これが皇女だったら、もっと伝わりやすかったはずで、逆に言えば皇子が相手――即ち男同士だから伝わり難いという考えは、ルルーシュには無い。
その辺がルルーシュも抜けているのだけど、本人は気付いていない。至って真剣だ。
正直ロロは、どっちもどっちだと思ってしまう。
けれど、このままでは進まない。
――いや、この場合進まない方がルルーシュの立場的には、いいのだけど。
ロロは、ルルーシュがスザクと初めて出会った日から、その話を聞かされている。
あの日ルルーシュは、大きな瞳をキラキラさせて言った。
『友達が出来たんだ』
『僕を守ってくれるって』
『あいつなら、一緒にいても死なないかな…』
ルルーシュは幼い日、母と妹と、自分達を守ろうとした騎士達の死を間近に見ていた。