Sound Horizon
□Ark(前編)
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雪降る街の何処で産まれたのか、初めてこの世界を感じたのは何時だったのか。
父の顔も、母の子守歌も、何も知らない侭。物心ついた時には、お兄様と二人、手を繋いで座り込んでいた。
辛い時も、苦しい時も、二人で温もりを分け合った。
手と手を合わしては存在を確認し合い、腕を回して抱き合っては鼓動を響かせて。
恋情は知らぬ間に育っていき、互いに自然と愛を求め合う。
お兄様には私が、私にはお兄様がいなければ。
そんなのずっと当たり前の事で、これからもずっと当たり前。
そう思ってた、そう信じていた。
それなのに。